雇用保険とは、労働者の生活及び雇用の安定と就職の促進を目的とした政府が管掌する強制保険制度です。
失業や育児・介護休業等で働けなくなったときや教育訓練を受ける方に対して、一定の給付金を支給しています。
主な給付金の名称
・基本手当(失業給付) ・教育訓練給付金 ・育児休業給付金 ・介護休業給付金 ・高年齢雇用継続給付 ・高齢求職者給付金 ・就職促進手当 など
雇用保険の加入要件
雇用保険は、事業所規模に関わりなく、原則として以下の要件を満たす方が被保険者となります。なお、昼間学生は雇用保険の対象となりません。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 31日以上の雇用見込があること
31日以上の雇用見込とは?
31日以上雇用が継続しないことが明確である場合を除き、この要件に該当することとなります。
たとえば、次の場合には、雇用契約期間が31日未満であっても、原則として、31日以上の
雇用が見込まれるものとして、適用されることとなります。
・雇用契約に更新する場合がある旨の規定があり、31日未満での雇止めの明示がないとき
・雇用契約に更新規定はないが、同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績があるとき
雇用保険料はどうやって計算される?
雇用保険料は、労働者本人と事業主がそれぞれ負担します。本人分の雇用保険料は、毎月の給与総額から雇用保険料率を乗じて計算します。保険料率は、「一般の事業」、「農林水産・清酒製造の事業」、「建設の事業」によって、それぞれ異なっています。
ほとんどの場合は、一般の事業に該当しますので、本人負担分の雇用保険料率は3/1000となります。
たとえば、給与総額が20万円の場合は、600円となります(令和3年度の場合)。
この保険料率は毎年4月1日に見直されます。
雇用保険の加入手続きは?
上記の加入要件に該当する方について、事業主(会社)が事業所を管轄するハローワークで加入手続きを行います。
雇用保険に加入すると、事業主から「雇用保険被保険者証」が交付されることとなっています。受け取ったら、内容を確認しましょう。
もし交付されていない場合には、会社に確認をしましょう。会社が加入手続をしていないと思われる場合には、労働者の方が自ら、ハローワークに対して雇用保険の加入が必要であるか否かの確認を請求することができます。
加入されていないことがわかったとしても、雇用保険は遡及して加入することができます。
遡及加入は原則として2年までの期間とされていますが、例外もあります。
それは、雇用保険料が給与から天引きされていたことが明らかな場合。このときは2年を超えて遡って加入手続きを行うことができます。証明するための賃金台帳など添付書類は必要となりますが、遡及できるケースはしておいた方が良いでしょう。
その理由は、給付額や支給要件に影響をすることがあるからです。
たとえば、離職したときに申請できる基本手当(失業給付)は、被保険者として加入していた期間によって、もらえる給付日数が変わってきます。また、育児休業給付金を申請する場合に被保険者期間が足りなければ、支給が受けられなくなってしまいます。
雇用保険は、在職中ばかりでなく、退職後の給付にも影響を与える、働き手にとって重要な保険です。ご自分の加入について不安なときは、まず会社に確認をすることをおすすめします。