こんにちは、佐佐木 由美子です。
3歳未満のお子さんを育てている会社員等(厚生年金保険の被保険者)の方で、時短勤務や残業をしなくなったことなどで給与が下がる場合、やっておくとお得な制度があります。
この制度は、本人が会社に申出るこで可能となる手続きのため、3歳未満のお子さんがいる場合はぜひ内容を確認していただけたらと思います。
人事労務担当者の方も、2025年1月から日本年金機構の様式が変更されていますので、ご留意ください。
養育期間の特例措置とは?
子どもが小さいうちは、育児のための短時間勤務制度を利用したり、所定外労働の免除を申請したりすることで、給与が下がる場合があります。
これにともなって、子どもが3歳に達するまでの養育期間中に社会保険の「標準報酬月額」が低下した場合、将来の年金額に影響しないようその子どもを養育する前の標準報酬月額に基づく年金額を受け取ることができる「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」の制度があります。
もっと簡単に、「養育期間の特例措置」ということもあります。
これは、下がる前の標準報酬月額を、その期間の標準報酬月額とみなして年金額が計算されるため、働き手にとっては活用したい有利な仕組みです。
厚生年金保険の被保険者に適用される制度で、特例措置の対象となる期間は、『3歳未満の子の養育開始月から養育する子の3歳誕生日のある月の前月まで』です。
従前の標準報酬月額とは、養育開始月の前月の標準報酬月額を指します。
ただし、養育開始月の前月に厚生年金保険の被保険者でない場合には、その月前1年以内の直近の被保険者であった月の標準報酬月額が従前の報酬月額とみなされます。その月前1年以内に被保険者期間がない場合は、みなし措置は受けられません。
重要なポイントは、被保険者の申し出に基づき行われるということです。ですから、こうした仕組みがあること自体を知っていることが大切になります。
申出にあたっては、育児休業を取得したか否かは関係ありません。
また、要件に該当すれば、夫婦で同時に申請することも可能です。
添付書類の省略可能に
養育期間の特例措置を受けるには、身分関係を明らかにするために戸籍謄本または戸籍抄本(戸籍抄本等)の添付が必要でしたが、取り扱いが一部変更となり、添付書類が省略できるようになりました。
日本年金機構の「厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届」に沿って説明します。
以下の(1)、(2)のいずれかに該当する場合は、戸籍抄本等の添付省略ができます。
(1)事業主が戸籍抄本等で申出者と養育する子の身分関係を確認し、「⑱事業主続柄確認」の「確認済み」の□にチェックを付している場合
(2)申出者と養育する子に日本の戸籍があり、双方の個人番号が記入されている場合

変更後の添付書類の取り扱いは、以下のとおりです。

※1上記①により添付省略ができるのは、戸籍抄本等のみのため住民票の写しの添付は必要。
※2上記②に該当する場合、住民票の写しの添付の省略可能。
※3②により戸籍抄本等の添付省略した場合、審査完了まで1か月程度期間を要する場合あり。
スムーズに手続きを進めるためのポイント!
・事業主の続柄確認にチェックをすること →戸籍抄本等の省略可に
・申出者と子のマイナンバーを記入すること →住民票の写しが省略可に
まとめ
この手続きについて、申出に係る子が3歳に到達したときに、終了届の提出は必要ありません。
また退職によって申出者が厚生年金保険の被保険者資格を喪失したときや、申出者が産前産後休業または育児休業等を開始したときについても同様です。
これまで、「戸籍謄本の取得が面倒だ」といった声が聞かれていましたが、添付書類が省略できることによって、本人の負担も大きく軽減ができます。
3歳未満のお子さんを育てる厚生年金の被保険者で、給与(標準報酬月額)が下がる場合は、ぜひ会社に申出をされることをおすすめします。
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