こんにちは、佐佐木 由美子です。
美術館や訪れた名所などを気ままに紹介している「アート・エッセイ」シリーズ。
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今回は、「エルベ川のフィレンツェ」と称され、壮麗なバロック建築が魅力のドレスデンについてお伝えします。
ドレスデン旧市街
ドレスデンは、ドイツ東部、チェコ共和国と国境近くにある、エルベ川沿いの平地に開けた街。
古い歴史があり、ドレスデンが最も発展したのは、1700年代前半のザクセン選帝侯アウグスト1世の治世の頃。
ドレスデンを代表する建築物となっているツヴィンガー宮殿も、アウグスト1世が自らの居城として、後期バロック様式によって建立させたものと言われています。
これほど重厚感のある街並みは、記憶の中にないほど。
古都と言われるだけあって、さぞ古いものかと思いきや、そうではないというから驚きです。
ドレスデンは、第二次世界大戦に大規模な空襲に遭い、尊い命ばかりでなく、多くの価値ある建造物が失われてしまいました。
今ある見事な建築物の数々は、戦後に修復・再建されたものなのです。
しかし、そう感じさせないのは、この土地に根付くザクセンの華麗なる歴史と、壮麗なバロック様式の建物によるものかもしれません。
ドレスデンの旧市街でランドマーク的な存在として挙げられるのが、1728年にアウグスト1世の命によって建てられたツヴィンガー宮殿です。
ギリシャ神話の神々などの彫刻で飾られた壮麗な外観の建物が、中庭を囲むように配されています。
一歩奥へ進むと、広大な敷地内は修復中のところも。
エルベ川沿いに立つ州立歌劇場ゼンパーオペラは、伝統と格式を誇るオペラハウス。
1841年に完成し、ワーグナーが『タンホイザー』の初演を行ったことでも知られています。
劇場内の見学ツアーに参加できればよかったのですが、どのような音が響くのか聴いてみたいものです。
フラウエン教会(聖母教会)
ドレスデンの短い滞在の中で最も感動したのは、フラウエン教会(Dresdner Frauenkirche)です。
フラウエン教会(聖母教会)は、バロック様式のプロテスタント教会。
アウグスト1世の命により(ローマ・カトリック教会の信徒であったにもかかわらず)、1726年から建築が始まりました。
パイプオルガンは、元は高名なオルガン製作者であるゴットフリート・ジルバーマンにより製作されました。そして1736年にヨハン・セバスティアン・バッハが、お披露目の独奏会を行ったことでも知られています。
様々な争いが起きた歴史の中で、200年以上もの間、ドレスデンの地平線を見下ろしていたベル型の美しいドーム。
第二次世界大戦の空襲によって建物は崩壊してしまいましたが、祭壇は壊されずに残り、特徴を留めた彫刻の破片なども瓦礫の下に。後に、それらを拾い集め、修復・再建され、今の姿になりました。そのため、古い石材と新しいものが混在しているのが一目でわかります。
外観の印象と、教会内部の雰囲気は、驚くほど異なります。
慈愛に満ちた、上品で神聖な空間。
赤と黄と青色(愛、希望、信仰)の優しいコントラスト。
眩いばかりの祭壇と、当時のパイプオルガンを再現した美しいファサード。
息をのむような美しさでした。
世界最大のマイセン磁器作品「君主の行列」
アウグスト通り沿いにある高さ8mのドレスデン城の外壁には、歴代君主たちを描いたおよそ100メートルにわたるマイセン陶器による壁画「君主の行列」が、奇跡的に戦火を免れ、ほぼオリジナルの状態で現存しています。
この壁画には、2万4千枚以上のマイセン磁器タイルが使用。歴代のザクセン君主35人が描かれており、世界最大のマイセン磁器作品として知られています。
歴代の君主たちとともに、当時の栄華が蘇ってくるようです。
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