こんにちは、佐佐木 由美子です。
働き方改革関連法の施行から、この4月で5年が経過。
働き方の多様化に対応するため、約40年ぶりに労働基準法の大改正につながる可能性のある議論が、厚生労働省内の研究会で行われています。
それは今年1月からスタートした「労働基準関係法制研究会」。
主な論点は幾つかありますが、デジタル化やグローバル化が進んだ今の時代に、従来の法制度では対応が難しくなってきている、というのが根底に。
1947年に制定された労働基準法は、1916年に施行された工場法を前身としており、同じ時間に同じ場所で、使用者から指揮命令を受けて働くことを前提として作られています。
働き手の健康を守るために、たとえば法定労働時間や時間外労働の上限規制が設けられていることなど、原理原則は大事なことです。
一方で、それらを守るための枠組みが、実態とそぐわなくなってきていることが少なくありません。
たとえば、時間外労働の上限を定める36協定についても、事業場単位で協定を締結する必要があります。
しかし、テレワークや在宅勤務などバラバラな場所で働く人たちが増える中で実態把握が難しくなってきています。
今や国境をも越えて、同じチームメンバーとして働いているのですから。
また、政府は副業・兼業の促進を打ち出していますが、別の会社で働く場合も労働時間を通算しなければならない現行の制度では、その仕組みが複雑すぎて、労働契約による副業の受入れはなかなか進んでいないのが実情です。
同じ仕事をしているのに、副業先では法定労働時間が超えてしまうので「2割5分増しで」というのも、同じ職場で働く人たちが納得できるか疑問です。
健康を守るための議論と割増賃金の問題は、この場合切り離して考えてもよいのではないでしょうか。
これらは一例にすぎませんが、現行の制度を守ろうとすれば、様々なところでほころびが出てきてしまい、多様化する働き方に追いついていません。
労働法制見直しに関する議論が途轍もなく膨大で困難であることは承知しつつ、今こそ踏み込んだ議論を進め、現在の社会経済情勢、そしてこれからの新しい時代にあった働き方を見据えて変わるべき時期にきていると強く感じます。