こんにちは、佐佐木 由美子です。
国立新美術館で開催中の「マティス 自由なフォルム」展を鑑賞してきました。
写真撮影OKなエリアから作品を幾つか取り上げつつ、独創的なフォルムで訪れる人々を魅了し続ける国立新美術館についてご紹介したいと思います。
切り紙絵の鮮やかな世界
20世紀を代表する巨匠の一人、アンリ・マティス(1869‐1954年)。
本展はフランスのニース市マティス美術館の所蔵作品を中心に、切り紙絵と晩年に取り組んだロザリオ礼拝堂を中心に展示されている企画展。
マティスが「私の最初の絵画」と称した《本のある静物》を皮切りに、油彩画、陶芸作品、彫刻、舞台衣装、タピスリーの下絵となる油彩画など150作品以上の多彩な作品が展示されています。
多岐にわたるジャンルのすべてにマティスならではのオリジナリティがあり、天賦の才とは彼のことを言うのだろうと感じずにはいられません。
目玉の一つである《花と果実》は、マティスが亡くなる前年に完成した4.1×8.7メートルの大作。この展覧会を機に修復されたとあって、鮮やかな色と形が大画面に広がっています。
展示の最後は、ニース郊外に建つヴァンスのロザリオ礼拝堂が体感できる空間が再現されています。
マティスが人生最期における芸術の集大成として築き上げた礼拝堂。
礼拝堂内部の壁面装飾は、生命の木をモティーフとした鮮やかなステンドグラスと、十字架の道行、聖ドミニクス、聖母子が描かれた3つの陶板壁画によってきわめてシンプルに構成されています。
司祭服のデザインから、建築の室内装飾の細部に至るまで、すべてマティスの手によるもの。
ひと際目を奪われるステンドグラスは、太陽の光を受けて、時間の流れとともに移りゆきます。
それが生命の誕生から終わり、そして再生……という、死生観を表しているかのように。
本物のロザリオ礼拝堂に、いつか行ってみたい、行こうと思いました。
国立新美術館の魅力
国立新美術館(THE NATIONAL ART CENTER-TOKYO)は、のべ14,000㎡の国内最大級の展示スペースを有する日本を代表する美術館。2007年1月にオープンしました。
館内には、12の展示室、アートライブラリー、講堂、研修室等があるほか、レストラン、カフェ、ミュージアムショップなどの付属施設も充実しています。
設計は世界的な建築家である黒川紀章氏。数多く手掛けた美術館の中で、氏の生前に完成した最後の美術館。
コンセプトは、「森の中の美術館」。
円錐形の正面入口に、波打つような曲線とガラス張りのカーテンウォールが美しく、一度見たら忘れることのできない、唯一無二の建築物。
館内にいても、ガラス越しに優しい光が降り注ぎ、まるで大きな森の中にいるかのよう。
3階にあるアートライブラリーは、誰でも入館することが可能。
美術雑誌をはじめ、アート関連の書籍をチェックできるのでおすすめです。
1階のカフェは外のウッドデッキに出て軽食をとることも。
1日中いても飽きることのない素敵な空間が広がっています。