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社会保険とお金

フリーランスは必見!産前産後の国保・年金保険料の免除

社会保険とお金

こんにちは、佐佐木 由美子です。

フリーランスや個人事業主として働く人が出産することになった場合、これまで支払っていた国民年金保険料や国民健康保険料の扱いは、どうなるかご存知でしょうか。

会社員と違って、ご自身で対応する必要があるので、内容をよく理解しておくことが大切です。

このエントリでは、フリーランスや個人事業主等(以下、フリーランスといいます)として働く人の産前産後の社会保険の取り扱いについて解説します。

産前産後の国民年金保険料

フリーランスとして働く人は、基本的に国民年金第1号被保険者として、国民年金保険料を納付しています(2024年度は16,980円/月)。

次世代育成支援の観点から、国民年金第1号被保険者が出産した場合に、出産前後の一定期間の国民年金保険料は免除される制度が2019年4月からすでに行われています。

ここでいう「出産」とは、妊娠85日(4か月)以上の出産を指し、死産・流産・早産された方を含みます。

具体的に、国民年金保険料が免除される期間は、出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間です。この期間を、「産前産後期間」といいます。

多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3か月前から6か月間の国民年金保険料が免除されます。

なお、産前産後の「付加保険料」の納付は可能です。

産前産後期間に免除を受けると、年金保険料が免除されるばかりでなく、「保険料が免除された期間」も保険料を納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映される点において、メリットがあるといえます。

出所:日本年金機構パンフレット「産前産後期間の国民年金保険料が免除されます!」

産前産後の年金免除はいつから申請できる?

産前産後の国民年金保険料の免除を受けるためには、届出を行う必要があります。

出産予定日の6か月前から、お住まいの市区町村役場の国民年金担当窓口となります。

書類は「国民年金被保険者関係届書(申出書)」を使用します。

記載例は下記のとおり、とても簡単です。

ダウンロードはこちらから

その他、マイナンバーや母子手帳のコピー(出産後、市町村にて確認できる場合は不要)など必要になります。

産前産後の国民年金保険料の免除については、時効がありません。2019年2月1日以降に出産された方で、まだ手続きをされない場合は、今からでも還付(または未納分への充当)が受けられます。

出所:日本年金機構サイト(記載例)

2024年1月から産前産後の国民健康保険料の免除開始

2024年1月1日より、産前産後における国民健康保険料の免除制度もスタートしました。

国民健康保険の被保険者で、妊娠85日(4か月)以上の出産をする(した)女性が対象です。

具体的に、国民健康保険料が免除される期間は、単胎妊娠の場合は出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月分に相当する国民健康保険料が免除されます。

多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3か月前から6か月分が対象期間です。

この考え方は、国民保険料の場合と同じです。

なお、免除は2023年11月1日以降の出産が対象となります。

たとえば、出産予定月が2024年4月の場合、単胎妊娠の人は3月・4月・5月・6月が免除対象となり、3月分は2023年度の保険料から減額され、4月から6月分は2024年度の保険料から減額されます。

多胎妊娠の人は、1月から6月までの6か月分の保険料が免除対象となり、1~3月分は2023年度の保険料から減額、4~6月は2024年度の保険料から減額されます。

ちょっと複雑な国保の考え方

国民健康保険料の具体的な算定方法などについては、各市町村の条例(国民健康保険組合の場合は規約)などで定められています。

基本的に国民健康保険料は世帯単位で算定し、世帯の被保険者ごとに応益分・応能分の各種類を計算し、それらを合計したものとなります。

出所:厚生労働省サイト「国民健康保険の保険料・保険税について」より一部抜粋


産前産後で免除対象となる国民健康保険料は、このうち所得割と均等割の全額です。

市区町村によっては、2方式(所得割・均等割)もあれば、3方式(所得割・均等割・平均割)、4方式(所得割・均等割・平均割・資産割)もあるため、場合によっては全額の保険料が免除とならない場合もあります。

また、自治体によっては、免除の該当となる月の保険料負担が無くなるわけではなく、免除された金額を年間の保険料から差し引き、再度年間の保険料額を計算しなおします。

この場合、国民健康保険料が免除対象になる期間であっても、0円になるわけではない点に留意する必要があるでしょう。

国保の免除はいつから申請できる?

出産予定日の6か月前から届出が可能です。

出産後に届け出る場合は、出産予定日ではなく出産日で届け出ます。

出産予定日で届出をした場合で、出産予定月と実際の出産月が異なる場合でも、当初の届出内容のまま適用されるため、改めて手続きを行う必要はありません。

ただし、出産日に合わせて該当月の変更を希望する場合は改めて届出を行うことも可能です。

申請方法は、市区町村の窓口のほか、郵送、オンライン申請、LINE申請など、自治体によって対応が異なる場合があります。

お住まいの自治体のホームページ等を事前に確認のうえ、対応するようにしましょう。

こちらは国民年金の免除とは異なり、時効が2年間となっていますのでご注意ください。

まとめ

国民年金第1号被保険者における産前産後の国民年金保険料の免除制度は2019年4月から始まっていますが、新たに2024年1月1日より産前産後における国民健康保険料の免除制度もスタートしました。

フリーランスとして働く女性が出産される場合、国民年金と国民健康保険それぞれの免除制度をぜひ活用しましょう。

執筆者プロフィール
佐佐木 由美子

社会保険労務士、文筆家、MBA。グレース・パートナーズ株式会社代表。働き方、キャリア&マネー、社会保障等をテーマに経済メディアや専門誌など多数寄稿。

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