こんにちは、佐佐木 由美子です。
お子さんが2歳になるまで育児休業を延長していたものの、保育所に入所できずやむなく退職されるケースがまだ時々見受けられます。(とても残念です)
あるいは、職場復帰したものの、様々な事情から仕事を続けることが難しくなってしまうケースもあるかもしれません。
こうしたときに、失業手当をもらえるかどうか、質問を受けることがあります。
雇用保険の失業手当(正式には「基本手当」と言います)をもらうためには、自己都合退職の場合、離職日以前2年間に「被保険者期間」が通算して12か月以上あることが必要です。
この「被保険者期間」とは、離職日からさかのぼって1か月ごとに区切っていった期間に、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1か月としてカウントします(11日以上ない場合も80時間以上の労働時間があればOK)。
単純に雇用保険に加入していた期間ではないので、気をつけてくださいね。
なお、離職日以前2年間のことを「算定対象期間」と言います。
育児休業中は、基本的に給与が支払われていないため、被保険者期間1か月としてカウントされません。女性の場合、育児休業の前に産前産後休業もありますが、こちらも同様です。
そうなると、前提となる「離職日以前2年間に被保険者期間が12か月以上」という要件を満たせないケースが出てきます。
でも、安心してください。病気やケガ、出産、育児等で引き続き30日以上賃金を受けられなかった期間があるときは、その日数分について算定対象期間を延長される措置があります。ただ延長されたとしても上限は4年間となっています。
算定期間を延長することを「受給要件の緩和」と言います。
受給要件を緩和されることで、失業手当をもらうための要件を満たせる方はかなり大勢いるのではないでしょうか。
ただし、第1子の産休・育休を取得後にまたすぐ第2子の産休・育休を取得するような場合、算定対象期間が4年間に延長されたとしても、被保険者期間の要件を満たせない可能性が高いと言えます。
仮に、第1子の育休から第2子の産休・育休に入る前に一定期間働いている場合、あるいは育休から復帰してしばらく働いたのちに退職される場合などもあるかもしれません。
これは人によって様々なので一概には言えませんが……
ただ一つ、知っておいてもらいたいことがあります。
それは出産・育児等により離職し、受給期間延長措置を受けた場合、「特定理由離職者」になり得る場合があるということです。
本来、自己都合退職は離職日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上あることが必要であることはすでにお伝えしました。
ところが、「正当な理由のある自己都合により離職した者」として「特定理由離職者」と認定されると、「離職以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上」あれば、受給資格が得られる場合があるのです。
正当な理由のある自己都合により離職した者(特定理由離職者)に該当する人とは?
1.体力の不足、心身の障害、疾病、負傷等により離職した者
2.妊娠、出産、育児等により離職し、受給期間延長の措置を受けた者
3.家庭の事情が急変したことにより離職した者
4.通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
5.企業整備による人員整理等で希望退職に応じて離職した者(一部例外あり)
算定対象期間を延長して最大4年間まで遡った際、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合は、諦めずにハローワークで相談してみましょう。
これを判断するのは、求職の申込みを行うハローワークとなり、勤めていた会社ではありません。
相談する際は、育児が理由であることや「特定理由離職者」というキーワードで伝えると、スムーズに運ぶかもしれません。
ぜひ参考にしてください。
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