こんにちは、佐佐木 由美子です。
以前に「週休3日制という働き方は広がるか」を書きましたが、週休3日制に関連して、Z世代を対象とした興味深い調査結果について、今回はシェアしたいと思います。
選択的週休3日制とは
日本の多くの企業では週休2日制を採用しており、1日8時間×5日=週40時間がスタンダードな労働時間として定着しています。
これは労働基準法で定める原則的な法定労働時間とも一致しています。
週休3日制とは、文字通り休日が1週間のうち3日に増えること。政府の骨太の方針にも「選択的週休3日制」が盛り込まれ、柔軟な働き方のひとつとして注目されています。
(「選択的」が入っているのは、従業員が希望すれば選択できることを意味しています。)
とはいえ、まだ多くの企業に取り入れられているわけではありません。
週休3日制について、労働時間・給与・仕事量の関係をみると、次の3パターンに分かれます。
A: 労働時間が減ることで、給与も仕事量も減少する
B: 総労働時間は変わらないため、給与も仕事量も同じ
C: 労働時間は減るが、給与も仕事量も同じ
そして、選択的週休3日制を採用する企業では、Aパターンを取るケースが少なくありません。
「労働時間が短くなるのはいいけれど、給与が減るのはどうなの?」といった、やや批判的な意見も当初はよく聞かれました。
ところが!
Z世代が週休3日制に熱視線
BIGLOBEの「若年層の働き方に関する意識調査」によると、「賃金が下がったとしても週休3日にしたい」の回答については、18~24歳のZ世代では、「あてはまる」(23.7%)、「ややあてはまる」(31.1%)をあわせ54.8%と半数を超える結果に。
25歳~29歳は50%、30代~60代は47.3%と、若い世代ほど「賃金が下がったとしても週休3日にしたい」という人が多いことが明らかとなりました。
ちなみに、「Z世代」は明確な定義があるわけではありませんが、一般的には1990年代後半から2012年頃に生まれた世代を指しています。この調査では、18~24歳をZ世代としています。
さらに「仕事のやりがいよりも普段の生活を重視したい」については、18~24歳のZ世代では、「あてはまる」(30.6%)、「ややあてはまる」(36.6%)をあわせ67.2%と、約7割が「仕事のやりがいよりも生活重視」と考えていることが明らかとなりました。
この調査自体は、「全国の18歳から29歳までの若年層の男女600人と比較対象として全国の30歳から69歳の男女400人の合計1,000人」と母数が少ないので、この結果をもってZ世代の価値観を判断することはできません。ただ、そうした傾向が見られるということは気に留めておきたいところです。
学生は職業経験がないので、学生生活の延長として「普段の生活を重視」という回答が多くてもそれほど不思議ではありません。しかし、20代後半で仕事のやりがいよりも普段の生活を重視する人がこれほど高い割合というのは、ちょっと複雑な気分。
初期のキャリアにおける(いい意味で)もまれた経験は、成長の糧になりますし、その後のキャリア形成においてとても重要な意味を持っています。
20代後半で「やりがい重視派」がもう少しいてもいいのでは・・・?(いて欲しい)
ただこの結果を見ると、それだけ「仕事って面白い!」「自分もこんな風になりたい!」感じさせるような魅力的な大人たちが周囲に少ない、とも言えるのかもしれません。
考えてみれば、Z世代は日本経済の低迷期以降に生まれ育った世代。親世代の疲弊する姿を見ていると、仕事よりもプライベートを大事にしたい、という発想になってしまうのもわからなくはありません。
でも、世の中には面白い、やりがいのある、成長を促してくれる仕事はたくさんあります。
仕事のやりがいや面白さは、ある一定の仕事に思いきり取り組み、失敗も含めて一皮むける経験をすることで初めて実感できるもの。それを導き、支援する上司や周囲の人間関係も大切です。
ところが、ここ数年はコロナ禍によってそうした成長の機会がかなり失われてしまいました。これも仕事のやりがいよりも普段の生活重視の傾向を強めた一つの要因かもしれません。
また、20代後半といえば、家庭を持ち始める人が出始める時期。
子育てと仕事の両立を考えれば、給与が下がったとしても労働時間を短くしたいというニーズは十分に考えられます。
この調査結果に関わらず、選択的週休3日制のニーズがあることを、企業側も意識しておきたいところでしょう。
手に入れた時間で何をするかは人それぞれですが、働き方の自由度が高まる仕組みを取り入れることは、人手不足が深刻化する中で、人材を惹きつけるインセンティブのひとつになることは確かです。