こんにちは、佐佐木 由美子です。
人生の長期化に伴い、「老後のお金が心配」という声が一段と聞かれるようになりました。
老後の生活補償と言えば、公的な老齢年金があります。
しかし、数年前に金融庁が試算した「老後2000万円問題」によって、国民の不安感が高まったことは間違いありません。
老後2000万円問題とは、金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」による「老後20~30 年間で約1300 万円~2000 万円が不足する」という試算を発端に物議を醸した問題で、いかに老後の資金を形成するかに注目が集まりました。
コロナ禍もあって、さらに経済不安を感じる人は増えているのでしょう。
そうした影響もあってか、働く高齢者は増えているものの、稼いだお金が貯蓄に回っている状況がうかがえます。
総務省によると、65歳以上の勤労世帯(2人以上)が2022年に貯蓄にまわした額は月平均11万円と、10年前の3倍超に。金融資産は、60歳以上が全体の6割超にあたる1200兆円を抱えています。
このお金、どうなるのでしょうか?
一生懸命に働いて稼いだお金がどんどんたまっていくのは、いざというときの備えにもなり安心かもしれません。
しかし、高齢になるほど、消費支出が減少していくことはこれまでの家計調査からも明らかな事実です。
「いつか」の「万が一」に備えて慎ましく暮らしているうちに、もし命が尽きてしまったら?
財務省によると、財産を残して亡くなった被相続人が80歳以上だった割合は、2019年で72%まで高まりました。相続したのは50歳以上が多いとみられています。
つまり、7割超の人たちが一生懸命に働いて稼いだお金を、自分で使いきることなく亡くなっているのです。
経験から得られることはプライスレス
私たちは、人生最後の日を正確に予測することはできません。
命尽きる前にお金が尽きてしまうのは不安。だからお金を残しておきたい。
そうした心理が働くのは、自然なことかもしれません。
だとしても、そのために「今」経験できることを先延ばしにしたり、我慢したりしていたら、何のための人生なのだろう?と考えてしまうのです。
経験から得られることは、私たちにとってプライスレスなもの。
今からタイムマシンに乗って遠い過去にさかのぼることはできないとしても、今このときからできる経験はたくさんあるはずです。
そう、経験から得られるものは計り知れず、私たちの人生を豊かにする秘訣でもあります。
ここで考えておきたいのは、健康と時間、お金のバランスです。
若いときには、健康と時間はありますが、自由になるお金はほとんどありません。
一方、高齢になれば、時間とお金はあるものの、健康面に衰えが出てくるのは自然なこと。
そう考えると、40代後半~50代というのは、人生において健康と時間、お金のバランスが比較的に整っている黄金期だと言えるのではないでしょうか。
ただ、この時期は仕事においても家庭においても求められる役割が多いとも言えます。
そのため、時間の捻出に課題がある人もいるでしょうが、相対的に見たときに、健康面でも活力はあり、お金もある程度は自由になる時期ではないかと思うのです。
もしあなたが今そうした年代であるなら、この時期をみすみす逃してしまうのは、もったいないことだと思いませんか?
それとも、定年や老後まで楽しみをお預けにしますか?
健康寿命が延びていることを思えば、まだまだ活力レベルの高い人は多いので、定年を契機に存分に楽しもうという人もいることでしょう。それもわかります。
でも、思い出してください。冒頭に紹介したとおり、65歳以上の勤労世帯において、月平均11万円もの貯蓄をしているという事実を。
定年を迎え、年金をもらい始めたからといって、それまで様々な経験・楽しみに対してお金を使うことに消極的だった人が、堰を切ったようにお金を使い出すとは考えにくいものです。
健康面における活力レベルは、自然と下がっていくわけですから、普通に考えれば行動範囲は狭まっていくでしょう。
たとえば、万里の長城を歩くことや古代遺跡を訪ね歩くことなど、若い頃には苦にならなかった場所へ高齢になって気軽に行けるかといえば、体力的にちょっと厳しいと感じてしまうかもしれません。
活力レベルが高いうちに、経験できることをやっておくことは、とても価値のあることだと思うのです。
悔いなく自分自身の人生を生きるために。
老後の資金計画を考えることは、もちろん大事なことです。
ただ将来が心配のあまりに、プライスレスな経験に充てる時間やお金を先送りにするのは、あまりにもったいないと思います。
そんなことを考えていたら、まさにこれだ!と思う本に出会いました。
「人生が豊かになりすぎる究極のルール~DIE WITH ZERO」ビル・パーキンス著
今しかできないことに投資して、資産ゼロで死ぬ、という、一見すると大胆に感じられる内容かもしれません。
老後に不安をあおるニュースが多い中で、お金の貯め方ではなく、使い方について語られている本は、新鮮に感じられるのではないでしょうか。
ご興味のある方は、ぜひこちらの本をご覧になってみてください。
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