こんにちは、佐佐木 由美子です。
長崎へ行くならぜひ訪れてみたいと思っていた「長崎県美術館」へ行ってきました。
運河を挟んで西側と東側、2つの棟によって構成される独自な外観。展示物もさることながら、建築デザインに興味津々で訪れました。
案の定、素敵な美術館でした。夕方の時間帯だったせいか人影も疎ら。その分、じっくりと鑑賞でき、心地よい時間を過ごすことができました。
今回は、長崎県美術館の魅力についてお伝えします。
コンセプトは「呼吸する美術館」
長崎港からほど近く、2005年4月に長崎市出島町で開館した長崎県美術館。
美術館という枠を超えて、呼吸しながら都市や地域を大きく活性化していく「呼吸する美術館」をコンセプトに、長崎県における新しい文化芸術活動の拠点を担っています。
主な収蔵作品は、長崎ゆかりの美術とスペイン美術。
「須磨コレクション」(須磨彌吉郎の個人コレクション)を母体とし、中世のキリスト教美術からピカソ、ジョアン・ミロ、ダリなど近現代まで収蔵作品数は約8000点。これらは常設展示室で、入れ替わり展示されます。
私が訪れたときは、企画展に「フィンレイソン展~フィンランドの暮らしに愛され続けたテキスタイル」、常設展示室1で「ヴェネツィア~松尾敏男+奈良原一高」が開催中。
長崎出身の日本画家・松尾敏男氏の描くサン・マルコや朝光のヴェネツィアは見事でした。また常設展示では、サルバドール・ダリのヴィーナスを描いた作品が印象に残っています。
運河をまたぐ橋の回廊
長崎県美術館の建築デザインを手がけたのは、世界的建築家・隈研吾氏。この美術館は、日本建築家協会賞やグッドデザイン賞など数々の賞を受賞しています。
外観は、ガラスのカーテンウォールに、縦の線が強調された花崗岩のルーバーが印象的。十分な彩光が確保されると同時に、ルーバーによって刻まれた影がどこか涼し気で重層的な空間を演出しています。
エントランス正面には「長崎水辺の森公園」の豊かな緑が、そして運河に流れる水のせせらぎと海の匂い。ガラスのカーテンウォールから降り注ぐ柔らかい光。自然との調和を感じられるのも、この美術館の大きな魅力と言えるでしょう。
そして、運河を隔てて2つの棟で構成されているモダンなデザイン。
西側の「ギャラリー棟」と、東側の「美術館棟」をつないでいるのが、幅約9m、長さ30mの「橋の回廊」です。
早速、エントランスロビーに入ると、高さ約12mの開放的な吹き抜け空間が広がっています。
入口右手にはミュージアムショップがあり、鮮やかな色使いのアイテムが並べられています。
ミュージアムショップの脇にある階段上ると、目の前に「橋の回廊」がまっすぐと伸びています。
私が訪れたときにはカフェがクローズしていましたが、昼間であれば、外の景色と水のきらめきを眺めながら、コーヒーブレイクを楽しめるはず。
運河を横目に回廊渡り、企画展へ。
展示室の入口は、「光の回廊」の中ほどにあります。ここもガラス張りになっているので、大型展示の脇から、外の景色を眺めることができます。
企画展を観終わった後は、常設展へ。光の回廊を通って、常設展示室に向かいます。
美術館の建物は2階建て、屋上へ上ると「屋上庭園」が広がっています。ここはぜひ訪れたいエリア。長崎港を一望できる憩いのスペースが広がっています。
一部は芝で緑化されていて、風を感じながら、水辺に映える緑と長崎湾の景色を楽しむことができます。
屋上庭園には、幾つかの彫刻が野外展示されていました。
長崎県美術館は、世界遺産の大浦天主堂やグラバー園など異国情緒が味わえる長崎の主要な観光スポットからも近く、徒歩圏で繁華街へ行くこともできる便利なロケーションにあります。
ちなみに、長崎は路面電車が市民の移動手段として発達していて大変便利ですが、路面電車を利用すればどこからでも気軽に行くことができそう。美術館は10時から夜8時まで開館しています。
長崎に行く機会があれば、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
「出島」の豆知識
美術館鑑賞後、「出島」(国指定史跡 出島和蘭商館跡)へ行きました。歴史で習った記憶がある…という方も多いのでは?
寛永13年(1636)に築造された出島は、鎖国時代に日本と西欧を結ぶ唯一の窓口であった人工島。経済・文化・学術の交流拠点として、日本の近代化に大きな役割を果たしたことで知られています。
復元整備事業によって出島にあったかつての建物が現在まで16棟復元され、出島の誕生から終焉までの歴史を知ることができます(内部の展示等はかなり近代的?)。
出島と言えば、扇形の島を連想しますよね? 明治期に役割を終えた出島の周囲は埋め立てられ、海に浮かぶ扇形の原形は残していません。初めて行かれる方はご注意を。
「出島」の営業時間は8:00~21:00まで。門番に扮したスタッフさんがとても親切!
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