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育児休業・産後パパ育休から復帰後の年次有給休暇はどうなる?

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こんにちは、佐佐木 由美子です。

時々、「育児休業から復帰した社員に年次有給休暇を与える必要はあるのですか?」と企業サイドからご質問を受けることがあります。

産休から引き続き育児休業を取得する場合、長いケースでは2年程度も休業することになります。

実際に働いていないのに、年次有給休暇を与える必要があるの?という素朴な疑問なのでしょう。

現在は「産後パパ育休」(=出生時育児休業)制度もあり、男性が休業を取るケースも増えています。

育児休業を取る人にとっても、復帰後の年次有給休暇は気になるところではないでしょうか。

そこで、育児休業・産後パパ育休と年次有給休暇の関係について解説します。

年次有給休暇の付与要件をチェック

法律では、使用者は雇入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して年次有給休暇を与えなければならないとされています(労働基準法第39条1項)。

この場合、週5日で働く人が付与される日数は10日となります。

その後、継続年数に応じて、付与日数が増えていきます。

入社から1年6か月経過すると11日、2年6か月経過すると12日・・・といった具合ですが、算定期間において出勤率8割以上、という要件は変わりません。

会社によっては、入社日あるいは、試用期間を過ぎたら付与されるケースもあれば、付与日数も、法定以上に設定されていることがあります。

すでに育児休業を取得されている方は、年次有給休暇が付与されている人がほとんどでしょう。

ところで、産休や育休を取得する場合、「8割以上の出勤要件」を満たすことができない、と考えてしまうのではないでしょうか?

しかし、労働基準法第39条10項では、以下の3つの休業は、年次有給休暇の出勤率の算定においては、「出勤したものとしてみなす」こととされています。

  1. 業務上の負傷・疾病にかかり療養のため休業した日
  2. 労働基準法第65条に基づき、産前産後休業を取得した日
  3. 育児・介護休業法に基づき育児休業又は介護休業を取得した日

このように、育児休業期間中は、出勤したものとして取り扱うため、他に長期の欠勤等がない限り、通常は年次有給休暇の付与要件である出勤率8割を満たします。

そのため、育休中であっても基準日が到来すれば年次有給休暇が付与されることとなります。

ただし、育児休業中は労働が免除されていますので、年次有給休暇を取得することができません。

実際に年次有給休暇の権利を実際に行使できるのは、職場復帰した後となりますので、その点はご注意ください。

産後パパ育休期間の年次有給休暇の付与に係る出勤率算定

産後パパ育休(出生時育児休業)は、育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業に含まれるため、出生時育児休業をした期間についても、育児休業をした期間と同様に出勤率の算定に当たり出勤したものとみなされます。

産後パパ育休中に部分就業を行う予定であった日について、欠勤した場合や子の看護休暇等の年次有給休暇の付与に係る出勤率算定に当たり出勤したものとみなされない休暇を取得した場合であっても、その日については出生時育児休業期間中であることから、「出勤したものとみなす」取扱いとなります。

令和3年改正育児・介護休業法に関する Q&AQ6-3参照(厚生労働省)

まとめ

育児休業から復帰後、お子さんの病気などで年次有給休暇を使いたい場面は、これまで以上に増えてくる可能性があります。

育休中に年休の付与日が到来しても、そのまま流れていく(あえて付与についての連絡などはない)のはごく普通なことです。

しかし、職場復帰したときに、年次有給休暇がきちんと付与されているかどうかは、今後のこともありますので、しっかりと確認しておきましょう。

付与日数については、会社の就業規則(年次有給休暇の条項)を確認ください。会社ごとに異なる場合がありますが、労働基準法の規定を下回ることは認められません。

もしわからないことがあれば、勤務先の労務担当者に相談してみましょう。一緒に確認ができると、一番安心できますね。

執筆者プロフィール
佐佐木 由美子

社会保険労務士、文筆家、MBA。グレース・パートナーズ株式会社代表。働き方、キャリア&マネー、社会保障等をテーマに経済メディアや専門誌など多数寄稿。

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