こんにちは、佐佐木 由美子です。
日頃から育児休業に関するご相談を受けますが、なかでも気をつけたいのが、育児休業を延長するときです。
お子さんが1歳になるまで育児休業を取るケースは、女性の場合とても多いですが、保育所に入れないために、1歳以降も育児休業の延長を希望される方は少なくありません。
そこで、育児休業が延長できる要件について、2022年10月1日からの変更点を含め、確認しておきましょう。
育児休業の基本的な考え方
育児・介護休業法において、育児休業は原則として子が1歳に達する日(誕生日の前日)までの間、子を養育するために従業員の申出により取得することができます。
ただし、保育所に入所できない等、1歳を超えても休業が特に必要と認められる場合等においては、最長2歳まで育児休業を延長することができます。
子が1歳時点で可能な育児休業期間は、子が1歳6か月に達する日まで。2歳までの休業は、1歳6か月到達時点でさらに休業が必要な場合に限られます。
会社によっては、最初から2歳、3歳まで育児休業を取得できる制度を設けている場合などもあるでしょう。
まずは、あなたの会社の育児休業制度のルールを事前にチェックしてください。
1歳6か月までの育児休業の要件
子が1歳に達する時点で次のいずれも該当する場合、子が1歳に達する日の翌日から1歳6か月に達する日までの期間について、事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができます。
1.育児休業に係る子が1歳に達する日において、労働者本人又は配偶者が育児休業をしている場合
2.保育所に入所できない等、1歳を超えても休業が特に必要と認められる場合
3.1歳6か月までの育児休業をしたことがない場合
ただし、新たな産前・産後休業、産後パパ育休、育児休業が始まったことにより1歳又は1歳6か月までの育児休業が終了し、終了事由の休業に係る子又は対象家族が死亡等して当該休業が終了した場合は、上記に関わらず1歳6か月に達する日まで休業できます。
1歳6か月までの育児休業開始日について
原則として、本人又は配偶者の育児休業開始予定日は、子が1歳に達する日の翌日(1歳の誕生日)となります。
配偶者が1歳6か月までの育児休業をしている場合は、配偶者の育児休業終了予定日の翌日以前(子が1歳に達する日の翌日も可能)を育児休業開始予定日とすることができます。
このように、1歳以降の育児休業開始日は柔軟化されていて、1歳から1歳6か月までの間において、夫婦が交代して育児休業をすることも、同時に取得したり、一部期間を重複して取得したりすることも可能です。
2歳までの育児休業の要件
子が1歳6か月に達する時点で、次のいずれにも該当する場合には、子が1歳6か月に達する日の翌日から2歳に達する日までの期間について、事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができます。
1.育児休業に係る子が1歳6か月に達する日において、労働者本人又は配偶者が育児休業をしている場合
2.保育所に入所できない等、1歳6か月を超えても休業が特に必要と認められる場合
3.2歳までの育児休業をしたことがない場合
ただし、新たな産前・産後休業、産後パパ育休、育児休業が始まったことにより1歳、1歳6か月又は2歳までの育児休業が終了し、終了事由の休業に係る子が死亡等して当該休業が終了した場合又は介護休業が始まったことにより1歳6か月又は2歳までの育児休業が終了し、当該介護休業に係る対象家族が死亡等して介護休業が終了した場合は、上記に関わらず2歳に達する日まで休業できます。
2歳までの育児休業開始日について
原則として、本人又は配偶者の育児休業開始予定日は、子が1歳6か月に達する日の翌日となります。
配偶者が2歳までの育児休業をしている場合は、配偶者の育児休業終了予定日の翌日以前(子が1歳6か月に達する日の翌日も可能)を育児休業開始予定日とすることができます。
このように、1歳以降の育休開始日は柔軟化されていて、1歳6か月から2歳までの間において、夫婦が交代して育児休業をすることも、同時に取得したり、一部期間を重複して取得したりすることも現在は可能です。
休業が特に必要と認められる場合とは?
冒頭で、保育所に入所できずに延長するケースが多いと言いましたが、そればかりではありません。
1歳以降の期間について休業することが、雇用の継続のために特に必要と認められるのは、次のいずれかに該当する場合を言います。
1.保育所等における保育の利用を希望し、申し込みを行っているが、1歳(又は1歳6か月)に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合。
2.常態として子の養育を行っている配偶者(育児休業に係る子のもう一人の親)であって、1歳(又は1歳6か月)に達する日後の期間について常態として子の養育を行う予定であった者が死亡、負傷・疾病等、離婚等により子を養育することができなくなった場合。
3.産前・産後休業、産後パパ育休又は新たな育児休業の開始により育児休業期間が終了した場合で、産前・産後休業、産後パパ育休又は新たな育児休業の対象となった子が死亡したとき又は他人の養子になったこと等の理由により労働者と同居しなくなったとき。
4.介護休業の開始により育児休業期間が終了した場合で、介護休業の対象となった対象家族が死亡したとき又は離婚、婚姻の取消、離縁等により対象家族と労働者との親族関係が消滅したとき。
(注)3と4は2022年10月1日より追加
契約社員等の有期雇用契約で働く場合
契約社員など、名称を問わず有期雇用契約で働く人については、注意点があります。
子が1歳に達する日において、育児休業をしている本人が、引き続き育児休業をしようとする場合、
子が1歳に達する日の翌日から1歳6か月に達する日までの期間の育児休業については、申出時点において改めて育児休業の多少となる労働者の要件を満たすか否かは問われません。
しかし、その後子が1歳6か月に達する日の翌日から子が2歳に達する日までの期間の育児休業については、申出時点において、「子が2歳に達する日までに労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと」の要件を満たす場合に限り取得できます。
まとめ
育児・介護休業法において、育児休業の延長は、雇用の継続のために特に必要と認められる場合に限り認められています。
育児休業の延長を目的として、保育所等への入所の意思がないにもかかわらず入所を申し込み、入れなかったことを理由に育休延長を申し出ることは、育児・介護休業法に基づく趣旨に合致しているとはいえず、育児休業の延長要件を満たさないことになります。
この点は、くれぐれもご注意いただきたい点です。
また、育児休業に関しては改正点も多いのでご留意ください。
お子さんが1歳になるまで育児休業を取得されている方は、延長の可能性も視野に入れて、こうした要件に加えて、自治体での保育所申込みスケジュール等を事前にきちんと調べておくようにしましょう。
参考出所:厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」令和4年11月作成版
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