こんにちは、佐佐木 由美子です。
ここ最近ボーナスの話題が増えてきました。そこで質問を受けたのが、育児休業中に賞与を支給する場合の取り扱いです。
2022年10月の改正を受け、賞与に関する社会保険料の取り扱いが大きく変わりました。特に気をつけたいのが、男性が育児休業を取る場合。女性と比べ、期間が短いことが多いからです。
賞与の社会保険料が免除されるかどうか。これは受け取る側にとって手取りがだいぶ変わってくるので、関心が高いのではないでしょうか。
そこで、育休中に賞与が支給されるときの社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金保険)の取扱いについて解説します。
賞与に係る社会保険料の取り扱い
2022年9月30日までは、賞与に係る社会保険料は、月末に育児休業等を取得している場合に、月末が含まれる月の社会保険料が免除されていました。
そのため、わずか数日でも月末を含めて育児休業を取得していれば、社会保険料がすべて免除されていたのです。
この取り扱いが大きく変わり、2022年10月1日以降に開始する育児休業については、連続した1か月超の育児休業等取得者に限り、賞与保険料の免除対象とされることになりました。
従来通り、月末時点に育児休業等を取得しているかどうかで保険料免除を判断するため、育児休業等期間に月末が含まれる月に支給された賞与に係る保険料が免除されます。
たとえば、12月20日が賞与支給日だとして、育児休業期間が12月5日~翌年1月9日までとしましょう。この場合、連続した1か月超の育休期間となり、月末を含む12月支給の賞与に係る社会保険料が免除されます。
暦による期間の計算に注意して
ここで大事なことは、「1か月超」という暦による期間の数え方です。
民法143条の規定に基づき、月によって期間を定めたときは、期間を暦に従って計算することとされています。月の初めから期間を起算しないときは、その期間は最後の月においてその起算日に応答する日の前日に満了します。
具体例で言うと、12月5日から1か月とする場合、その期間は1月4日までとなります。
気をつけたいのが応当する日がない場合です。
たとえば、1月31日が育休開始日の場合、どうなるでしょうか。2月30日はありませんよね?
このように月によって期間を定める場合において応当する日がないときは、その月の末日に満了することとなります。
つまり、1月31日の場合、2月28日をもって1か月と数えます。
パッとみると「1か月超」に見えるかもしれませんが、この期間で育児休業を取得すると、賞与に係る社会保険料は免除されません。
このケースで「1か月超」とするには、3月1日以降とする必要があります。
月の末日が育休開始日となる場合は、くれぐれも気をつけましょう。
民法 第143条より
(暦による期間の計算)
1 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
産後パパ育休(出生時育児休業)の場合
産後パパ育休(出生時育児休業)が注目されています。早速取得を検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
産後パパ育休は、原則出生後8週間以内に、最大4週間(28日)まで取得することができます。産後パパ育休を最大日数で取得した場合であっても1か月未満です。
そのため、産後パパ育休から引き続き「育児休業」を取得し、連続1か月超となるような場合を除き、産後パパ育休のみでは賞与に係る社会保険料は免除されません。
なお、産後パパ育休については、労使協定など一定の要件において就業を認めている会社もあります。育休中の賞与に係る社会保険料免除に関しては、育休期間から就業日数を控除する必要はありません。この点もポイントです。
まとめ
育児休業中の賞与に係る社会保険料免除について説明しましたが、標準報酬月額(給与)に係る社会保険料の取り扱いは同じではありません。
これがまたややこしいところですが、非常に重要なので理解しておく必要があるでしょう。
標準報酬月額(給与)に係る社会保険料の取扱いについては、下記のエントリもぜひご参照ください。
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