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ねんきん定期便が届いたら?まずはここをチェックして

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こんにちは、佐佐木 由美子です。

毎年、誕生月に送られてくるものと言えば、「ねんきん定期便」ですが、あなたは中を開いてチェックしているでしょうか?

ハガキが届いたら、決してスルーしないでください。「難しそう」と感じてしまう方のために、「ここだけチェックしておけば大丈夫」というポイントについてお伝えします。

ねんきん定期便とは?書かれていること

ねんきん定期便には、主に3つのことが書かれています。

1.これまでの保険料納付額の累計

2.これまでの年金加入期間

3.老齢年金の種類と見込額の年額

ねんきん定期便は、年金制度に加入していることや、年金給付と保険料負担の関係を実感してもらうことで、現役世代、特に若い世代に年金制度に対する理解を深めてもらうことなどを目的として作成されています。

「ねんきん定期便」が届く人は、国民年金と厚生年金保険に加入している被保険者。

以下のようなハガキタイプのものとなります。

出所:日本年金機構「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和3年度送付分)

ただし、35歳・45歳・59歳の節目年齢の方については封書で届き、これまでに加入した年金記録の全てが月ごとに記載されているなど、詳しい内容になっています。

ねんきん定期便でチェックしておきたいポイント

ねんきん定期便のハガキが届いたら、すべてに目を通しておきたいところですが、特にチェックしたいことは、この中でひとつ。「最近の月別状況」です。

会社勤めの方は、厚生年金保険に加入している人が多いと思いますが、ここに「標準報酬月額」の欄があります。自分の標準報酬月額がどのくらいか、正確に把握している人は、それほど多くないかもしれません。

そこで、正しいかどうかは、記載されている「保険料納付額」が、給与から天引きされている厚生年金保険料の金額と合致しているかどうかでチェックします。これが同じであれば、問題ありません。明らかに異なる場合は、まず自社(給与計算をしている部門)に確認してみるとよいでしょう。

給与ソフト等で機械計算するであっても、厚生年金保険料率や個人の標準報酬月額を設定するのは「人」です。所得税は年末調整や確定申告でアジャストできますが、社会保険料については、そうした機会がありません。ねんきん定期便のルーティーンとして、チェックするといいと思います。

たとえば、標準報酬月額が260,000円(報酬月額25万円以上27万円未満)の方であれば、一般の厚生年金保険料は23,790円になります。

なお、厚生年金保険の標準報酬月額の上限は、現在は650,000円です。つまり、給与が100万円の場合であっても、標準報酬月額は「650(千円)」という表記になります。

出所:日本年金機構のサイトより(本人負担分は右側の折半額を参照する)

また、記載されている期間に賞与が支払われている場合、標準賞与額に記載があるかどうかも確認しましょう。

標準賞与額とは、実際の税引き前の賞与の額から1千円未満の端数を切り捨てたもので、支給1回(同じ月に2回以上支給されたときは合算)につき、150万円が上限となります。 (150万円を超えるときは150万円とされます。)

会社が賞与を支給すると、5日以内に日本年金機構へ届け出ることになっています。万が一、この手続きを忘れてしまうと、ボーナスから多額の厚生年金保険料が天引きされているのに、年金額に反映されないことになってしまいます。

ですから、最近の月別状況は、毎年しっかりと確認したい重要ポイントと言えます。

ちなみに、ねんきん定期便は、誕生月の2カ月前(1日生まれの方は、誕生月の3カ月前)に作成されているので、「最近の月別状況」には若干のタイムラグがあります。

これまでの加入期間については、ハガキタイプのねんきん定期便でチェックするのは難しいもの。そこで、封書で届く節目年齢の方について、全期間の加入履歴を確認するとよいでしょう(あるいは、後述するねんきんネットで確認を)。

老齢年金の見込額について

ねんきん定期便には、老齢年金の種類と見込額の年額が記載されています。ただ、年齢によって表記方法が異なっています。

50歳未満の方は、これまでの加入実績に応じた老齢年金見込額が記載されています。ただし、これから支払予定の保険料は含まれていないので、あまり参考になるとは思えません。


50歳以上で年金を受け取っていない方については、現在の加入状況が60歳まで継続すると仮定して計算された老齢年金の見込額が記載されています。

50歳未満の場合よりも信憑性はありますが、ただ今と同じ状況が60歳まで続くことを仮定したものに過ぎません。実際には、給与に変動もあるでしょうし、65歳、あるいは70歳まで働く可能性もあります。ですから、あくまでも目安です。

なお、年金受給者で現役の被保険者の方は、見込額の記載はありません。

ねんきんネットを活用しよう

ねんきん定期便には、「お客様のアクセスキー」が書かれています。これにご自分の基礎年金番号等があれば、「ねんきんネット」にログインすることができます。

これまでの加入状況や将来の年金額を試算したい場合は、ねんきんネットでシミュレーションしてみるのが一番。どのくらいの給与推移で、何歳くらいまで働くか、いろいろな条件を設定して試算でき、保存できます。厚生年金保険は、現行では最長で70歳まで加入できます。

ねんきんネットのサイト

アクセスキーの有効期限は、ハガキが到着してから3ヵ月。まだ一度もねんきんネットを利用したことがない、という方は特に、ハガキが届いたら速やかにチェックされることをおすすめします。

まとめ

毎年、誕生月に送付される「ねんきん定期便」については、シンプルに「最近の月別状況」を確認しましょう。老齢年金の見込額については、あくまでも参考目安に。

特に、転職された方や、会社を辞めて国民年金になった方、結婚して第3号被保険者になった方など、状況に変化があった場合は留意したいところです。

さらに詳しい情報を確認したいときは、ねんきん定期便に記載されている「お客様のアクセスキー」を利用して、ねんきんネットで試算することをおすすめします。

マイナンバーカードをお持ちの方は、マイナポータルからも 「ねんきんネット」にアクセスできるようになりました。

年金は、将来の生活設計を考えるうえで大切なものです。普段は忙しく、なかなか年金について考える時間はないかもしれません。こうして「ねんきん定期便」をきっかけに、今後の働き方について考えてみてはいかがでしょうか。

※内容については、すべて投稿日現在の法律等に基づきます

執筆者プロフィール
佐佐木 由美子

社会保険労務士、文筆家、MBA。グレース・パートナーズ株式会社代表。働き方、キャリア&マネー、社会保障等をテーマに経済メディアや専門誌など多数寄稿。

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