こんにちは、佐佐木 由美子です。
この時季、見逃すことの展覧会といえば、根津美術館の国宝・燕子花図屏風を中心とした特別展。
根津美術館が所蔵する国宝・重要文化財あわせて100件のうち、日本近世の絵画は3件のみ。尾形光琳の国宝「燕子花図屏風」と、円山応挙「藤花図屏風」、鈴木其一「夏秋渓流図屏風」の2点の重要文化財です。
今年は、財団創立85周年ということで、これらを一堂に会したゴージャスな特別展「国宝・燕子花図と藤花図、夏秋渓流図~光琳・応挙・其一をめぐる3章」が開催されています。

いずれも6曲1双の金屏風。この3作品を見るためだけに足を運ぶ価値はあります。
他の展示作品も、数は多くないものの見応え十分でした。
2階の展示室で同時開催されている「女面の魅力~能「杜若」に寄せて~」も、興味深いものがありました。
今回、特に胸がざわついた作品といえば、鈴木其一(1796~1858)の「夏秋渓流図屏風」でしょう。
檜の林と岩間を流れる渓流が連続する六曲一双屏風。
右隻には夏を代表するユリの花。克明な描写に対して、驚くほどに単純化された岩笹。
左隻には桜の葉が見事なまでに繊細に描かれています。
にもかかわらず、ねっとりと這うように描かれた水流の毒々しさまで感じる群青と、異様なまでに点在する苔の緑。
それらが背景の金屏風と強烈なまでに対比され、違和感を拭うことができません。
まさにエキセントリックな作品で、強烈な印象を残します。
ロビーを除き、展示室はすべて撮影NGとういことで、このエントリでは庭園の写真をアップします。

美術館の庭園散歩

本館から一歩外に出て、石畳の小径を進み樹々の中を下って行くと、4棟の茶室を含む17,000㎡におよぶ庭園が広がっています。
小鳥のさえずりが響き、緑の香りがする。ここは、まさに都会のオアシス。
起伏に富んだ地形を歩くのは楽しく、所々に由緒ある石造物が配され、飽きることがありません。
これまで数々の美術館を訪れていますが、これほど見事な、四季折々の自然を体感できる庭園は他に思いあたりません。
今年は少しカキツバタの開花が遅いようで、まだ花を見ることはできませんでしたが、池のほとりにさく藤が美しく咲いていました。











庭園内を写真でご紹介しましたが、ご興味のある方は、ぜひ足を運んで楽しんでいただけたらと思います。
根津美術館については、以前にも書いたエントリがあるので、よろしければこちらもご覧ください。
アートをめぐるエッセイ