こんにちは、佐佐木 由美子です。
2025年4月1日から施行される改正育児・介護休業法では、育児ばかりでなく、介護と仕事の両立支援に関しても新たなルールが設けられます。
介護離職防止のための雇用環境整備や、介護に直面する前の早い時期(40歳頃)での情報提供、さらに介護に直面した旨の申出をした労働者に対しする個別の意向確認などです。
介護と仕事の両立支援は、今後ますます課題のひとつとなっていくと思いますが、昨今のニュースを見ていて、少し気になることもあります。
適切な情報提供が重要
介護休業は法律上、対象家族1人につき3回まで、通算93日まで休業できます。
一方で、介護休業の期間を1年間またはそれ以上など、法定よりも大幅に延ばして休業できるようにしているケースも大企業を中心に見られます。
また、その間において一定額の給与を支給するなど、手厚くしている企業もあります。
とある鉄業会社では、「介護休業を5年間とし、1年間は月給の2分の1相当の支援金を支給」として介護離職ゼロを目指すことを先頃発表しました。
このように、法定を大幅に上回る制度を導入する企業も一定数あります。
これはおそらく、育児休業と同様に、介護を従業員本人が担い専念することを想定されているからでしょう。もしくは、社内からそうした希望の声が強くあるのかもしれません。
こうした手厚い施策を否定するつもりはありません。従業員の方からすれば、安心に思われることでしょう。
しかし、ほとんどの企業(特に中小企業)では、このように太っ腹な施策を取ることはできません。
ここで理解しておきたいことは、育児休業と介護休業はその意味合いが大きく異なるということです。
育児の場合は、従業員本人が一定期間育児に専念し、その後は時短勤務や残業免除を活用してフルタイムで復帰するなど、子の成長とともに基本的なプロセスが想定されています。
しかし、仕事と介護の両立では、個人差があまりにも大きく、基本的なプロセスがありません。
介護休業は、両立するための体制準備などに利用し、直接的な介護はプロにお任せする。必要に応じて、単発の介護休暇を利用する。これが基本的なスタンスです。というのも、介護はいつまで続くか分からないからです。
そのため、法律上は最大93日となっており、できる限り休業は最小限に抑え、仕事と介護の両立をうまくマネジメントしていくことが課題となります。
介護の問題に直面した社員から申出があったときに、企業が育児休業と同じように介護に専念することをアドバイスすれば、働き手にとってもそういう位置づけものだと解釈されることでしょう。
しかし、介護休業が法定通りの日数の場合、この考え方ではあっという間に上限に達してしまい、介護離職につながりかねません。
そうならないためにも、企業は介護休業の趣旨をはじめ、適切に情報提供をすることが重要になります。
介護に直面する前の早い段階において、さらに介護に直面した従業員に対する個別の周知・意向確認において、企業の適切な情報提供は大きなポイントといえます。
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