こんにちは、佐佐木由美子です。
会社を退職する予定で、フリーランスなどに転身する場合、在職中のうちに「健康保険」については考えておきたいところです。
その理由も含めて、このエントリでは事前に知っておきたい大事なポイントについて取り上げます。
特に、協会けんぽの被保険者は、2025年(令和7)年度から保険料上限に変更がありますのでご留意ください。
退職後の選択肢
退職後の健康保険については、(1)任意継続健康保険、(2)国民健康保険、(3)ご家族の健康保険(被扶養者)のいずれかに加入する手続きが必要となります。
仕事をしない場合や、働く場合でもパートタイマーなど収入が一定範囲内の場合は、ご家族の被扶養者となってご家族の健康保険に加入する選択肢が考えられます。被扶養者となる場合、保険料はかかりません。
一方、個人事業主やフリーランスとして働く場合、基本的に任意継続か国民健康保険かいずれかを選ぶことになります。検討する際は、保険料が低い方を選ぶ方がよいでしょう。
健康保険組合に加入されている場合、「付加給付」があれば、それは任意継続におけるメリットの一つと言えます。
たとえば、高額療養費に付加給付金があれば、大きな病気をした場合にも自己負担を低く抑えられることができます。
扶養する家族がいる場合や退職前の給与が高い場合は、任意継続の方が低くなる傾向にありますが、会社で加入していた健康保険等によっても違いがあるため、こちらは事前に調べておきたいところです。
任意継続保険にする場合の4つのポイント
退職後に健康保険を任意継続する場合、事前におさえておきたい4つのポイントがあります。
- 保険料が原則として2倍になる
- 原則として保険料は2年間変わらない
- 継続して2か月以上の被保険者期間があること
- 20日以内に手続きする必要がある
キーワードは数字の「2」。具体的に確認していきましょう。
1.保険料が原則として2倍になる
任意継続となると、これまで事業主が半分負担してくれていた保険料を自分で支払うことになります。
そのため、単純に退職時に支払っていた保険料の2倍かかることになります。
ただし、協会けんぽの場合、保険料には上限があります。
2024年度現在、退職時の標準報酬月額が30万円を超えていた場合は、30万円の標準報酬月額により算出した保険料となります。
2025年度(4月分)からは、標準報酬月額の上限が「32万円」に変更されます。
健康保険組合に加入している人は、組合の規約によって内容が異なりますので、必ずご自身が加入されている健保組合のホームページ等でご確認ください。
2.原則として保険料は2年間変わらない
任継継続における保険料は、原則2年間変わりません。
ただし、次の場合は、期間の途中で変更となることがあります。
・任意継続加入中に40歳になり介護保険第2号被保険者に該当した場合
・任意継続加入中に65歳になり介護保険第2号被保険者に該当しなくなった場合
・健康保険料率や介護保険料率が変更された場合
・標準報酬月額の上限が変更された場合
・保険料率の異なる都道府県へ転出した場合(協会けんぽ)
なお、本人に被扶養者が何人いようとも、保険料に変更はありません。
保険料は加入した月から必要となります。
また、保険料は月単位で計算されるため、日割りでの保険料納付はできません。そのため、加入が月初めでも月末でも同じ1ヵ月分の保険料を納めることになります。
3.継続して2か月以上の被保険者期間があること
資格喪失日の前日(=退職日)までに、健康保険の被保険者期間が継続して2か月以上あることが必須要件となります。
この要件を満たせないケースは少ないと思いますが、仮にすぐに辞めてしまう場合。
退職したときの事業所で2か月以上の被保険者期間がなかった場合でも、健康保険の被保険者期間(協会けんぽおよび健康保険組合に加入していた期間)が1日も間を空けることなく、2か月以上あれば、任意継続に加入することができます。
4.20日以内に手続きする必要がある
資格喪失日(退職日の翌日)から20日(20日目が土日・祝日の場合は翌営業日)以内に手続きを行う必要があります。これは加入するご本人が行います。
郵送による提出の場合は、書類到着が20日以内となる必要があるので注意しましょう。
協会けんぽの場合、「任意継続被保険者資格取得申出書」はこちらからダウンロードできます。
雇用保険被保険者離職票のコピーや退職証明書など、事業主または公的機関が作成した資格喪失の事実が確認できる書類を添付しますが、申出書の健康保険資格喪失証明欄(事業主記入用)への記載があるとスムーズです。
※健保組合の場合は、フォーマットが各組合によって異なります。
協会けんぽの場合、お住まいの住所地を管轄する協会けんぽ支部に、書類を提出します。
まとめ
仕事を辞める場合は、事前に退職後の健康保険について検討しておきましょう。
手続きは20日以内に行う必要があり、1日でも遅れると原則受領してもらえません。
そのため、会社に退職届などを提出するタイミングで、任意継続の意向があればその旨を事前に会社に伝えておくようにしましょう。
退職を証明する書類を準備するのに、時間がかかる場合もあります。
特に、離職票は退職日と賃金締日が同じ場合、最後の賃金を記載する必要があり、作成・手続きに時間を要することがあります。
国民健康保険と比較される場合においても、余裕をもって検討したいところです。
ただ、任意継続に関する書類の提出は、保険料の納付方法等も含めて基本的にご本人が行うことになります。その点もあわせて、事前に確認しておくと安心です。
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