このエントリは、佐佐木由美子のnoteから一部編集して転載しています。
こんにちは、佐佐木 由美子です。
「世界幸福度ランキング」で毎年上位のフィンランドやデンマーク。
近年、こうした国の「働き方」に関心が高まっています。
日本との大きな違いを挙げれば、柔軟な働き方や休みやすさ(有休取得100%、長期休暇等)、残業なく平均労働時間が短いこと、DX化や生産性の高さなどがありますが、社会保障も充実しています。
働き方に関して思うことは、根本的な人生観・仕事観の違いです。
人生で大事なことは「楽しむこと」。だから、「ワーク」よりも「ライフ」を重視する姿勢は鮮明です。
一方、日本では真面目な国民性もあってか「ワーク」のために「ライフ」が犠牲になりがち。
仕事が終わらなければ残業し、人手が足りないからと休みも取りにくい。長期休暇などもってのほか……といった雰囲気が多くの職場に根付いています。
「ワーク」は「ライフ」を充実させるための手段と考える人たちにとって、個人のライフを犠牲にしがちな日本人の働き方は、およそ想像できないものかもしれません。
私たちも、今のような働き方を続けながら、さらに長期化する職業人生を考えたときに「このままではいけない」と感じている人は多いはず。
そこで提案したいのは、よりライフ全体を重視した働き方へ変えていくことです。
本来は、それぞれの企業・職場においてドラスティックに働き方改革を進めて、柔軟な働き方・休み方ができるようにすることが望ましい姿でしょう。
ただ、何も声をあげずにそのように変わっていくことは、実際にはなかなか難しいこと。
それならば、個人から会社・組織に働きかけて、私たちの働き方を見直していくのはどうでしょう?
あるいは、個の力で事業を起こすことも選択肢のひとつです。
組織で働く場合
組織で働く場合、具体的には選択的週休3日制や短時間正社員制度、リモートワーク、フレックスタイム制度、時間単位年休制度などの活用が挙げられます。
年次有給休暇の取得率も職場全体で高められると、かなり生活に融通が利くようになります。
制度そのものが職場にない場合であっても、諦めずにまずは働きかけてみることです。(この点については、別のエントリで改めて。)
選択的週休3日制については、休みを増やすことで他の労働日の労働時間を増やすのではなく、週の所定労働時間を減らす方が個人的には望ましいと思います。
ところで、所定労働時間が短くなると、よほど生産性を高めることでカバーできる職種でない限りは一般に給与が下がってしまうことが想定されます。
「それでもいい」と思えるかどうかはじっくりと考えておきたいところです。
今の給与を所与として、どの程度まで下げることが許容であるか(逆にどのくらいライフに充てる時間がほしいか)、個々人によって答えは違います。
年金に与える影響は?
仮に週休3日制にして給与が下がると、将来もらえる年金も下がってしまうという話を聞いてことがあるかもしれません。
でも、どのくらい影響がでるのか考えたことがあるでしょうか。
たとえば、現在の月給が50万円の人が、仮に今50歳として、定年の60歳まで月給40万円となった場合について考えてみましょう。
この10年間だけの単純化した厚生年金の数字でみると、月給50万円の場合で約32万8千円、月給40万円の場合で約27万円となり、その差は約5万9000円。月額ベースでは約4千900円の差となります。
これに国民年金が加わり、さらにはその前後の就労期間における平均標準報酬月額も加わってくるので、実際にもらえるトータルの年金額はまた違った数字にはなります。
ただ、単純に時短で給与が下がったことによる年金差をみると、激減するわけではないことがわかるでしょう。
無理をした働き方で仕事を続けて定年退職するよりも、自分にとってサステナブルな働き方に移行して細く長く働くことができれば、むしろ生涯年収や年金面においてもプラスになり得ます。
もし今、フルタイム(+残業あり)で休みも十分に取れずに疲弊しているならば、「充電切れ」となってしまう前に、長期的に働き方を見直すことも、選択肢の一つとしてぜひ検討してみてはどうでしょうか。
私たちは、それぞれ様々な役割をもちながら暮らしています。育児や介護、自分自身のケアに係わることばかりでなく、キャリアシフトのための学び直しなどに時間が必要な人もいるでしょう。
仕事も大切ですが、1日は誰にとっても24時間で、増やすことはできません。
人生で大事なもの、優先順位について考え、人生の節目で全体のポートフォリオを見直してみることは、私たち自身の幸福度を高めるために大事なことです。