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フリーランス新法の基礎知識②~取引をするときに行うべき明示義務とは?

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こんにちは、佐佐木 由美子です。

前回のエントリから引き続き、「特定受託事業者に係わる取引の適正化等に関する法律」(以下『フリーランス新法』といいます)の基礎知識について解説します。

今回は、フリーランスに対して業務委託をするときの取引条件の明示義務について。

これはフリーランス同士の取引も対象になります。超重要な内容ですので、しっかり覚えておいてくださいね。

明示すべき事項とは?

フリーランスに対し業務委託をした場合は、ただちに取引条件を書面または電磁的方法により明示しなければなりません。

明示すべき事項は、以下のとおりです。

 →発注事業者とフリーランス、それぞれの名称

ニックネームやビジネスネームでもOKですが、商号、氏名もしくは名称または番号、記号等であって業務委託事業者および特定受託事業者を識別できるものを記載する必要があります。

2.業務委託をした日

→両者間で業務委託することを合意した日

3.特定受託事業者の給付の内容

 →フリーランスにお願いする業務内容

品目、品種、数量(回数)、規格、仕様などを明確に記載する必要あり。また、知的財産権が発生する場合で、業務委託の目的である使用の範囲を超えて知的財産権を譲渡・許諾させる際には、譲渡・許諾の範囲も明確に記載する必要があります。

4.給付を受領または役務の提供を受ける期日

→いつまでに納品するか、いつ作業をするか

5.給付を受領または役務の提供を受ける場所

→どこに納品するのか、どこで作業をするのか

6.給付の内容について検査する場合は、検査を完了する期日★

7.報酬の額および支払期日

→具体的な報酬額を記載することば難しい場合は算定方法でも可能。

フリーランスの知的財産権の譲渡・許諾がある場合には、その対価を報酬に加える必要あり。フリーランスの業務に必要な諸経費を発注事業者が負担する場合、「報酬の額」は諸経費を含めた総額が把握できるように明示する必要があります。

8.現金以外の方法で報酬を支払い場合は、支払い方法に関すること★

★該当する取引である場合のみ明示が必要な事項

明示する方法について

取引条件を明示する方法は、書面か電磁的方法のみが認められ、どちらの方法とするかは、発注事業者が選択できます。

くれぐれも、電話など口頭で伝えることは認められませんので、その点はご注意ください。

電磁的方法で提供した後に書面を求められたときは、遅滞なく、書面を交付する必要があります。

ただし、フリーランスの保護に支障を生ずることがない場合には、必ずしも書面を交付する必要はありません。これはたとえば、フリーランスからの電磁的方法による提供の求めに応じて明示した場合や、アプリ上で取引のすべてが完結する場合などです。

SNSのメッセージ機能により取引条件を明示する場合、送信者が受信者を特定して送信できるものに限定されることに注意しなければなりません。

こんな方法でOK!明示の例

書面は「契約書」でなくても問題ありません。書面様式は定められていないため、明示すべき事項が確認できれば、発注書などでも可能です。

発注書の例としては、以下のとおりです。ピンク色の番号は、上記囲みの明示すべき事項の内容になります。

出所:「ここからはじめるフリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット、以下同じ

SNSのメッセージ等を利用する場合は、メッセージが削除されたり、閲覧できなくなる可能性もあるため、双方においてその場合の対応を事前に決めておいたり、もっと簡単にスクリーンショット等で明示された内容の保存しておくとよいでしょう。

メッセージ本文に明示事項を記載する方法ばかりでなく、明示事項が掲載されたWebページのURLをメッセージに記載する方法や、メッセージにPDF等の電子ファイルを添付して送る方法も認められます。

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執筆者プロフィール
佐佐木 由美子

社会保険労務士、文筆家、MBA。グレース・パートナーズ株式会社代表。働き方、キャリア&マネー、社会保障等をテーマに経済メディアや専門誌など多数寄稿。

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