定年前後の働き方大全100

発売中

詳細はこちら
働き方

家族介護のための所定外労働の制限(残業免除)

働き方

こんにちは、佐佐木 由美子です。

前回のエントリでは、育児のための所定外労働の制限について書きましたが、「介護の場合はどうなるの?」と思われた方もいるかもしれません。

2025年に改正施行される育児・介護休業法では、介護と仕事の両立支援における改正も多岐にわたります。ただ、介護のための所定外労働の制限に関しては特に変更ありません。

しかしながら、職場での活用されているケースは育児の場合と同様にあまり多いとはいえません。

そこで、今回のエントリでは、現行の法律を踏まえて内容をおさらいしておきましょう。

家族介護を行う労働者の所定外労働の制限

「所定外労働の制限」とは、文字通り所定労働時間を超えて働いてもらうことに制限をかけることで、要は残業が免除されることを指します。

事業主は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者が請求した場合においては、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、所定労働時間を超えて労働させてはいけません。

要介護状態とは、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態のことをいいます。

また、対象家族の範囲は、配偶者(事実婚含む)、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母となります。

次のような労働者については、所定外労働の制限を請求することができないこととする労使協定がある場合には対象外となることがあります。

  • その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

育児の場合は、子どもの年齢によって利用できるか否かが決まりますが、介護の場合については、対象家族の年齢は問いません。

要介護状態にある対象家族がいる限り、介護終了までの期間について請求することが可能です。

制限の請求をするときは、1回につき、1か月以上1年以内の期間について、開始の日及び終了の日を明らかにして、制限開始予定日の1か月前までにしなければなりません。

そして、この請求は、何回もすることができます。

請求に関してや労使協定のルールに関しては、育児の場合と同じです。

なお、事業主は労働者に対して、請求に係る対象家族が要介護状態にあること等を証明する書類の提出を求めることが認められています。

管理職の場合はどうなる?

管理職のうち、労働基準法第41条第2号に定める管理監督者については、労働時間等に関する規定が適用除外されていることから、所定外労働の制限の対象外となります。ただし、職場で管理職として取り扱われている場合であっても、同号の管理監督者に当たらない場合は、所定外労働の制限の対象となります。

まとめ

団塊の世代と呼ばれる人口の多い世代が、2025年に一斉に75歳以上(後期高齢者)になることから、「2025年問題」がずっと以前よりささやかれていました。

働き盛りの世代にとっては、仕事と介護の両立は今後ますます重要な課題となります。

それを見込んで、法改正においては介護に関する内容が多く盛り込まれていますので、このあたりの内容もぜひ確認をしておきたいところです。

執筆者プロフィール
佐佐木 由美子

社会保険労務士、文筆家、MBA。グレース・パートナーズ株式会社代表。働き方、キャリア&マネー、社会保障等をテーマに経済メディアや専門誌など多数寄稿。

ワークスタイル・ナビをフォローする
シェアする
ワークスタイル・ナビをフォローする
佐佐木 由美子のワークスタイル・ナビ
タイトルとURLをコピーしました