こんにちは、佐佐木 由美子です。
子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律が2024年6月 12 日に公布され、「共働き・共育て」及び育児期を通じた柔軟な働き方の推進のため、「出生後休業支援給付」及び「育児時短就業給付」が創設されることになりました。
このエントリでは、「出生後休業支援給付」の内容について取り上げます。
出生後休業支援給付の要件
2025(令和7)年4月1日から、両親ともに育児休業を取得することを促進するため、「出生後休業支援給付」が創設されることになりました。
「出生後休業支援給付」とは、子の出生直後の一定期間以内に、被保険者とその配偶者がそれぞれ14日以上の育児休業を取得した場合、被保険者の休業期間について28日間を限度に、通常の育児休業給付に「休業開始時賃金の13%相当額」を上乗せして受けられる支援制度です。
具体的には、以下の(1)(2)を満たす場合に、最大28日間、休業開始前賃金13%相当額を「出生後休業支援給付」として給付されます。
(1)子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に育児休業を取得すること
(2)被保険者とその配偶者の両方が 14 日以上の育児休業を取得すること
※2025年4月1日以降に上記の要件を満たした方が支給対象
ただし、配偶者が専業主婦(夫)の場合や、ひとり親家庭の場合などには、上記(2)の要件のうち配偶者の育児休業の取得は求めずに対象となります。
手取り10割の意味
「出生後休業支援給付」は非課税であり、かつ、育児休業中は基本的に社会保険料が免除(一定の要件あり)されます。
そのため、休業前の手取り賃金と比較すると、実質的に10割相当の給付になります。
これが「手取り10割相当」といわれる所以です。
実際には、育児休業給付(給付率67%)とあわせ、給付率は80%となります。
出生直後の時期に注意
「出生後休業支援給付」は、子の出生直後の一定期間以内に育児休業を取ることが要件となっていますが、男性は「子の出生後8週間以内」、女性は「産後休業後8週間以内」となり、男女で時期が異なります。
男性の場合、子の出生後8週間以内は「産後パパ育休(出生時育児休業)」を取得できる期間と重なります。
産後パパ育休を出生直後から最大28日間取得する場合、その期間に合わせて「出生後休業支援給付」を申請するのが、とてもわかりやすいといえるでしょう。
女性の場合は、産後休業がありますから、育児休業の開始日と合わせて「出生後休業支援給付」を申請することになります。
最大28日間ということで、初回の育児休業給付の支給単位期間と微妙に異なる点が少々わかりにくいかもしれません。
いずれにしても、実務上の手続きはこれまでよりも複雑になるため、人事総務担当の方はご留意いただければと思います。