こんにちは、佐佐木 由美子です。
アートをテーマに、旅とワーケーションを時々楽しんでいます。
今回訪れたのは、香川県。
素敵な美術館との出会いがありました。
そして、前から行きたいと思っていた金刀比羅宮の表書院にも足を運び、円山応挙の障壁画などじっくりと鑑賞。こちらは、また別の機会があれば。
このエントリでは、丸亀市にある「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館」について取り上げます。
美術館建築も同時に楽しめる猪熊ワールド
「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館」は、丸亀市の市制施行90周年の記念事業として、丸亀市ゆかりの画家・猪熊弦一郎(1902‐1993)の全面的な協力のもと1991年11月に開館。
本人から寄贈を受けた約2万点の猪熊作品を所蔵、常設展で紹介するとともに、現代美術を中心とした企画展が開催されています。
JR丸亀駅を出て、徒歩1分。駅前とは聞いていましたが、これほど近くにあるとは。しかも駅前広場とゆるやかに繋がるようにファサードが目に飛び込んできます。
正面には、巨大な壁画《創造の広場》や独創的なオブジェが配置され、まるでシアターのような贅沢な空間が広がっています。
それと対比するように、入口の小さな自動ドアを通り抜けて、美術館のエントランスへ。
建物と作品が一体化しているような、調和を感じられます。
だから、心地よいのでしょうか。
館内は自然光が取り入れられ、優しい開放的な雰囲気。
設計は、数々の美術館建築を手がけた建築家・谷口吉生(1937‐)によるもの。
猪熊弦一郎との対話によって、アーティストと建築家の理念が細部に至るまで具現化された建築というだけあり、作品と建築の鑑賞を存分に楽しむことができます。
館内は1階から3階までの3層構造となっています。
1階にはオリジナルグッズなどを販売するミュージアムショップ、2階には2つの展示室、さらに3階には天井高約7mの豊かなスケール感をもつ展示室が配されています。
では、2階の常設展「猪熊弦一郎展 フィルムと絵画」へ。
窓の形状とも通じる四角、そして丸が組み合わさった作品が特徴といえますが、そうした作品が多数展示されています。
美術作品をどう捉えるか。これは、個人が自由に感じるもので、正解などありません。
耳と心を研ぎ澄ませると、それぞれの作品から様々なメッセージを感じ取れるような気がします。
今では単に絵を描くだけでなく、造形全体のことに興味を持つようになってきた。(中略)そういうあらゆるものがやっていて楽しい。これはちょうど、いままで閉ざしていた窓がちょっと開いたために、ふっと何か違った空気が入ってきたというような感じに似ている。絵は描かなくても芸術を愛する人というのは、そういう心の窓をあけた人だと思う。すると新しい美しさがみえるようになってくる。(中略)本当の美とは何だろうかと自分で考えるようになるのではないだろうか。
猪熊弦一郎「勇気」『私の履歴書』丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、公益財団法人ミモカ美術振興財団、2017年、p.8
階段を上がり3階へ行くと、企画展「猪熊弦一郎展 ホノルル」が開催中。
猪熊は1973年に患った病により、20年に及びニューヨークでの活動に区切りをつけて、ハワイにアトリエを移します。
自然豊かなハワイからインスピレーションを受け、作品の色彩がよりビビットなもの変化しているのを感じることができます。
鑑賞を終えて、Café MIMOCAへ。自家製ジンジャーエールをいただきました。
戦後いち早く渡米し、国際的なアートシーンに身を投じた猪熊弦一郎。
時代の動きに目を向けながら、あらゆる物事に関心を寄せて挑戦を続けた迸る情熱の軌跡を、作品を通して感じることができます。
また訪ねてみたいと思える、素敵な美術館でした。
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