こんにちは、佐佐木 由美子です。
育児休業を取得されていた方も、4月の新年度から職場復帰されるケースは多いかと思います。
育児休業と関連して、年次有給休暇に関するご質問を受けることがあります。
たとえば、「年度の途中に育休から復帰した場合も、年5日の年次有給休暇を取得させなければならないのですか?」という会社側からのご質問。
今回は、このテーマについて解説します。
年5日の年休取得義務とは?
2019年4月から、年次有給休暇が10日以上付与される労働者について、年5日の年休を労働者に取得させることが使用者の義務となりました。
使用者は、労働者ごとに、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日について、取得時季を指定して年次有給休暇を取得させなければなりません。
「取得時季を指定して」とありますが、本人自らが年休を請求して取得した場合には、5日の時季指定義務の対象日数から減じることが可能です。
使用者が年5日の年休を取得させなかった場合は罰則もあり、30万円以下の罰金に処される場合があります。
このように、労働基準法には罰則が設けられていることもあり、会社としても「きちんと対応しなければ」という意識が高いと言えます。
では、年度の途中に育児休業から復帰した労働者についても、年5日の年次有給休暇を確実に取得させなければならないのでしょうか?
ちなみに、復帰後の年休付与に関しては、こちらのエントリをご参考ください。
年度途中に育児休業から復帰した場合
たとえば、4月1日に育児休業から復帰したAさんがいたとします。
Aさんの年休基準日は毎年5月1日で、前年の基準日から復帰日までずっと育児休業だったとしましょう。
この場合、4月中において、5日を取得させる義務があるのかどうか?ということですが・・・
結論から言えば、年度の途中に育児休業から復帰した労働者についても、年5日の年次有給休暇を取得させなければなりません。
これは、「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」PDF(厚生労働省)のQ14においても取り上げられています。
年度の途中に育児休業から復帰した労働者等についても、年5日の年次有給休暇を確実に取得ていただく必要があります。ただし、残りの期間における労働日が、使用者が時季指定すべき年次有給休暇の残日数より少なく、5日の年次有給休暇を取得させることが不可能な場合には、その限りではありません。
「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」(厚生労働省)
ただし書き以下をよく読むと、現実的にはかなり厳しい内容が書かれていることを、ご理解いただけるのではないでしょうか。
「使用者が時季指定すべき年次有給休暇の残日数より少なく」というのは、具体的には5日未満ということ。つまり、残りの期間が5日以上あるなら取らせなさい、と読めます。
ということで、このあたりの運用については、特に気を付ける必要があります。
この考え方は、私傷病等で休職をしていた人が復帰する場合も同様となります。
働く人にとっては、年次有給休暇の取り扱いは気になることです。
育児休業のように、通常とはイレギュラーな取り扱いがあるときは、労使双方において正しい認識を持ち合わせておきたいところですね。