こんにちは、佐佐木 由美子です。
かつて、多くの日本人はワーク(仕事)が主体の人生観・仕事観に支配されていました。
会社員(正社員)である以上、長時間労働や転勤なども厭わず(抗えず)、働き方は固定化。柔軟性を求めようものならば、逆に退出を求められてしまうことも珍しくなかった時代。
働き方や生き方の選択肢が限られている現状では、多様な人生を歩むことはできません。
そこで注目されるようになったのが、「ワーク・ライフ・バランス」という考え方です。
ワークもライフも大事。それらの調和を図っていこうという発想は大変新鮮に映り、特に「仕事か家庭か」という難題を突き付けられてきた女性たちが共感しました。
そのせいか、ワーク・ライフ・バランス政策は、女性の仕事と家庭の両立問題であるといった捉えられ方をされてしまう面がありますが、本来は女性だけのものではありません。
仕事と仕事以外の生活における調和を大事にし、好循環を生み出していこうとする経営戦略としても、先進的な企業から注目を集めました。(この流れは「働き方改革」へと進展)
当時、働くといえば、同じ時間に同じ場所で働くスタイルが一般的。仕事と生活の区分が明確でした。
それゆえ、ワークとライフは別物で、両者のバランスを取ることだと受け取られていたところは多分にあったと言えます。
そして、アフターコロナの現在。
パンデミックという未曽有の状況が、大きなパラダイムシフトを起こしました。
これまでの人生、そして働き方を見つめ直そうとする人たちが多く現れたのです。
それは、自身が人生で大事にしたいもの、いわばライフを主体とした人生観・仕事観です。
働く時間や場所にとらわれない柔軟な働き方が認知され、仕事と生活の境界線は以前より曖昧なものになりつつある人もいます。
また、副業・兼業や、フリーランスなど雇用によらない働き方も広がりつつあります。
ITの進化もあって、それらを組み合わせたオリジナルな働き方を生み出すことも可能な土壌ができてきました。
固定的な働き方の概念が取り払われたことは、まだ一部ではあるかもしれませんが、とても素晴らしいことだと考えています。
まずは個人のライフ(人生)があり、その中にワーク(仕事)がある。
ワーク・イン・ライフ(Work in Life)
それは一個人として考えたとき、自然の姿だと感じています。
1日の中で仕事に関わる時間は大きいので、ワーク中心に考えてしまう傾向が強かったこれまでの流れは、不思議なことではありません。
仕事は大事なものですが、人生の一部。
自分自身がどのような人生を送りたいのか。それを実現するための働き方や仕事の在り方はどのようなものか。
あくまでも自分の人生の一部に、仕事があるということです。
仕事のほかにも、家庭、子育て、自己成長や学び、趣味、社会活動、家族の介護など、人生において大事にしたい領域は、たくさんあるはずです。
それらの比重やプライオリティは、時とともに変わっていくものでしょう。
決して仕事を軽く考えているわけではありません。
ただ、「今の仕事しかない」と思い込んでしまうと、苦しくなってしまうこともあるのではないでしょうか。
時には「働かない」という選択肢があってもいい。
いつかは、仕事から引退する時期も訪れます。
それでも、人生は続くのです。
ワークとライフの境目もなく楽しんでいる人もいることでしょう。
もっと大きな目で人生を眺め、自分が納得できる道を歩めばいいと思います。
働き方や生き方の選択肢が広がれば、私たちは自分らしく多様な人生を歩むことができるようになります。
無理をして、自分を世間の常識や価値観に合わせる必要などありません。
自分の人生なのですから。
もし、思考がワーク中心となってしまって、行き詰まりを感じているなら、ワーク・イン・ライフの発想で考えてみてはどうでしょうか。