こんにちは、佐佐木 由美子です。
つい先日、「育休の終了予定日より早く復帰したいと従業員から申出があったとき、希望通りに認めなければなりませんか?」という質問を人事担当者の方から受けました。
こうした話、実は時々あります。
今回は、育児休業終了日を早めたい場合の対応についてお伝えします。
育休から早めに復帰したい人にとっても、会社側の担当者にとっても、ぜひポイントを理解してください。
育児休業期間の変更ルール
育児休業の開始日を早める場合(=休業開始日の繰上げ)や休業終了日を遅らせる場合(休業終了日の繰下げ)は、育児・介護休業法により一定のルールが設けられています。
育児休業の開始・終了日を早めることを「繰上げ」と言い、育児休業の開始・終了日を遅らせることを「繰下げ」と言います。
具体的には、育休開始日の繰上げは、出産予定日よりも早く子が出生したときや配偶者の病気など特別な事情がある場合、変更後の休業開始日の1週間前までに申し出ることで1回に限り可能です。
また、終了日の繰下げは、事由を問わず、1か月前までに申し出ることで1回に限り休業終了日を遅らせることができます。
一方、育児休業開始日を遅くする場合(=休業開始日の繰下げ)や休業終了日を早める場合(=休業終了日の繰上げ)については、法律上の規定は設けられていません。
今回の質問は、育休終了日の繰上げ変更のケースでした。
人手が足りない職場にとって、従業員が予定よりも早く復帰することは朗報かもしれません。
しかし、育休期間中に派遣社員などでカバーしている場合、契約上の問題もあります。基本的に育休取得者が出た場合は、企業は職務配分の変更や代替要員の確保などの措置を講じています。
そのため、従業員側からの希望のみで期間を短縮すると、様々な問題が発生するおそれがあります。
育児休業終了日の繰上げに関して法律上の規定がないのは、こうした事情を考慮したものと解されています。
そうしたことから、会社の「育児休業規程」等においても、特に育休終了時期の繰上げについて、規定を設けていないことが多いのです。
従業員からの申出があった際、会社は希望通りに復帰させる義務はありませんが、まずは復帰についてよく話し合ってみることをおすすめします。
育休中にはさまざまな事情で状況が変わることもあるかもしれません。
早めに復帰を希望するときはいつまでに申し出てください、といったルールを会社が設けておくと、従業員にとってもわかりやすいですね。
ただし、職務配分や代替要員など社内の状況を見極めながら、最終的な復帰日については会社が判断するという風にされるとよいでしょう。
まとめ
育児休業の終了時期を早めることに関しては、法律上の規定は設けられていません。
会社独自にルールを設定している場合もありますので、まず就業規則や育児休業規程を確認してください。
ルールがある場合はそれに従い、特にない場合はまず会社に相談してみましょう。
復帰日に関しては、会社と従業員の間でよく話し合ってみることが大切です。
育児休業の終了日が1日違うだけでも、社会保険料免除の期間が変わります。例えば、31日に復帰されるよりも、翌日1日に復帰した方が前月分の社会保険料が免除になります。復帰日を早めるときは、こうした点にも留意されるとよいでしょう。