こんにちは、佐佐木 由美子です。
世界経済フォーラムが先頃発表した2023年の男女平等の度合いを示すジェンダー・ギャップ指数で、日本は146カ国中125位と過去最低を記録しました。
昨年と比べ、ここまで順位を落とすとは思っていなかったので、率直に残念です。
今回は、大学以上の進学率が加わったことが順位を大きく下げた要因と考えられますが、改めて社会からみた日本の現状について振り返ってみます。
ジェンダー・ギャップ指数とは?
ジェンダー・ギャップ指数は、経済・教育・健康・政治の4分野(14項目)に関する統計データをもとにして、男女平等がどの程度実現できているかを示す指標です。
2023年の全体スコアをみると、アイスランド、ノルウェー、フィンランド、ニュージーランド、スウェーデンと上位5か国は常連国です。
一方、アジアでは韓国(105位)や中国(107位)からも日本は大きく差をつけられた格好となっています。
日本の順位が低いのは、4分野の中で、経済(123位)と政治(138位)の分野です。
相対評価で順位が決まるとは言え、男女賃金格差、管理職比率の低さ、国会の女性議員比率や女性閣僚比率の低さ……なんと20年近く前とスコアがほとんど変わっていないのです!
他国がジェンダー・ギャップ解消に向けて努力している、相対的にみるとまだまだ、というレベルではありません。それだけ改革が進んでいない、世界からみても取り残されている現状なのです。
私たち一人ひとりができること
社会を大きく動かしているのは、政治と経済です。
この分野でのギャップを一刻も早く解消すべきですが、いずれも決定権のあるポジションに女性が少なく、改革が進みにくい状況が長い間続いています。
海外の政治・経済分野でみると、選挙の立候補者や企業の役員などに一定以上の女性を割り当てるクオータ制はかなり広がってきています。
日本では、「政治分野における男女共同参画推進法」が2018年に施行されていますが、罰則もなく今のところ効果がほとんど見られません。
今月発表された「女性版骨太の方針」では、東証プライム上場企業に2025年を目途に女性役員を最低1人選任し、30年までに女性役員比率を30%にすることや、政府機関と民間が集中支援を行うプログラム(J-Startup)において、女性起業家の割合を20%とすることを目指すなど盛り込まれています。
これまでも各所で様々な取り組みをなされてきました。
しかし、世界標準のスピードからみると、大きく後れを取っているというのが現実なのです。
数値目標を掲げることも必要ですが、それを形骸化させるのではなく、これまでの古い慣習・慣例に風穴を開け、社会全体として意識を変えていくことが今まさに求められているのではないでしょうか。
私たちがジェンダー・ギャップの解消について関心を寄せること、考えること、意見を発信することは、一人ひとりができることだと思うのです。
そして、諦めないこと。
世界全体でみても格差はなお残り、世界経済フォーラムはこの差を埋めるにはあと131年必要だと指摘しています。これは途方もない時間です。けれど、諦めて現状に甘んじていては、何も変わりません。
折しも、6月23日からの1週間は、「男女共同参画社会基本法」の公布・施行日である1999年6月23日を踏まえ、「男女共同参画週間」となっています。
ぜひこの機会に、自分ごととして考えてみませんか。
「Global Gender Gap Report 2023」 参考