定年前後の働き方大全100

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働き方

働き方のリデザインを考える~ライフシフト

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こんにちは、佐佐木 由美子です。

もし明日から、「働き方は自由に選べますよ」と言われたら、あなたはどのような働き方を選びますか?

こういうと、「人生も半分過ぎて、今さらそんなこと……」と感じる方もいるかもしれません。そう、かつては絵空事の世界でした。

それが徐々に、現実になりつつあるのです。年齢を理由に、人生の選択肢を狭める必要などありません。

エイジとステージの分離

私たちは、無意識に年齢によって人生のステージを規定しまうところがあります。

学校を卒業すれば仕事をし、そのうち家庭を持つことを考えたり(そうでなかったり)、いずれ定年を迎えて引退する……。

フルタイムの「教育」→「仕事」→「引退」という、年齢と人生が連動した「3ステージ」の生き方を、暗黙のうちに「そういものだ」と信じてきました。

「過去のモデルは役に立たない」と衝撃を与えた一冊が、リンダ・グラットンとアンドリュー・スコットの共著『ライフシフト~100年時代の人生戦略』です。

長寿化がさらに進む『人生100年時代』の到来を深く印象付けた本であり、2016年に出版されて以降、今なお多くの方に読まれています。(もし、まだ読んだことがない…という方がいれば、ご一読されることをおすすめします!)

そうした3ステージの生き方が当たり前だった時代が終わりを迎え、生涯にもっと多くのステージが出現するようになる~いわゆる「マルチステージ化」していくのが、私たちのこれからの時代です。

これまで大学生と言えば、20歳前後だと察しがつきますし、管理職と言えば40代以降のミドルだろうと何となくイメージすることができました。

それが、年齢と人生のステージが必ずしも一致しなくなっていくのです。

50歳から学び直して新しいキャリアを手に入れることも、しばらく仕事から離れて旅に出ることも、60歳で起業することも、どのステージをどの順番で経験するかは人によって違ってくる。そうした変化の兆しは、ゆっくりとですが見え始めています。

パンデミックによって、その動きがさらに加速した感はあります。

ただ、人は「変わろう」と思っても、従来のやり方や思考に戻りがちなところがあります。人生がつつがなく流れているのであれば、「今のままでもいい」と思ってしまうかもしれません。

そうした規定路線である3ステージの在り方に、疑問を呈することになるのが、「定年」という壁が見えてきたときかもしません。

マルチステージ化しつつあるとは言え、日本の労働市場は流動性に欠け、同じ会社で働き続けてきた人はまだまだ多数派です。

これまで何となく先送りにしてきた人も、人生を見つめ直すチャンスと言えるかもしれません。

あなたが人生で大事にしたいことは?

考えてみれば、年齢によって人生のステージが決められてしまうというのは、とても窮屈なことではないでしょうか。

でも、それが当たり前すぎて、窮屈であることになかなか気づかないのです。

私自身、学生時代の頃は、企業に就職して働くことが当たり前だと思っていましたし、定年までいられたらいい、くらいに思っていました。

理想の人生がどういうものか、想像してみたことはありますが、それは夢のまた夢。現実世界で生きていくためには、世間の当たり前に迎合しなければいけないし、そういうものだと思い込んでいました。

でも、私たちは一人ひとり性格も違えば、与えられた環境も違います。好きなことも得意なことも、興味があることも。それが個性というものです。

軍隊のように一斉更新して、同じステージを歩むことなどないのです。

ただ、自分の人生を歩もうとするなら、自分の頭で考えて行動していく必要があります。

何が自分の人生にとって大事なことか。自分にとっての理想の生き方とはどういうものか、真剣に考え抜くことは重要なプロセスです。

それは、あなたにしかできないことです。

こういう人生を歩みたい、生き方がしたい。だから、こんな働き方や仕事をしたい。

あなたの奥深いところにある羅針盤を大事にすることで、あなたに合った人生を創り上げることにつながっていくと思うのです。

もっと柔軟な思考で、一人ひとりが多様な人生を歩むことができたら素晴らしいと思いませんか。

その気になれば、多少の準備期間は必要になってくると思いますが、いつからでも働き方を変えることができるものだと信じています。

リンダ・グラットン教授の新著「リデザイン・ワーク」

リンダ・グラットン著「リデザイン・ワーク 新しい働き方」(東洋経済新報社)

働き方のリデザインに関して、世界中のさまざまな企業の現場事例をもとに、企業側への視点で示唆の富んだアドバイスをしています。

私たちの「仕事のあり方」、ひいては「働く意味」 「人生の豊かさ」を“リデザイン(再設計)”していくことについて書かれた作品。

特に、企業の人事労務部門で働く人にとって、新しい働き方の選択肢を模索している場合などに役立ちます。

執筆者プロフィール
佐佐木 由美子

社会保険労務士、文筆家、MBA。グレース・パートナーズ株式会社代表。働き方、キャリア&マネー、社会保障等をテーマに経済メディアや専門誌など多数寄稿。

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