こんにちは、佐佐木 由美子です。
育児休業に関する手続きにおいて、特に注意したいのが保育所等に入れず『育児休業給付金』を延長する場合。大事なポイントを見過ごして、給付金が延長できないという話を時々耳にすることがあります。
このエントリでは、保育所等に入れず1歳以降も育児休業を延長する場合の育児休業給付金の手続きの大事なポイントについてお伝えします。
また、育児休業給付金がいつまで支給されるか、意外と知られていないので、最後まで読んでぜひご確認ください。
育児休業給付金の支給対象期間を延長するには?
育児・介護休業法において、育児休業は原則として子が1歳に達する日までの間、子を養育するために従業員の申出により取得することができます。
ただし、保育所に入所できないなど休業が特に必要と認められる場合においては、最長2歳に達する日まで育児休業を延長することができます。
育児休業の延長理由については、以下のエントリもご参照ください。
お子さんが1歳になるまで育児休業を取得するケースは、特に女性の場合に多いですが、職場に復帰するために保育所等に入所申込みをしたものの入所が認められず、育児休業給付金の支給対象期間を延長するには、どうすればよいのでしょうか。
1歳から1歳6か月までの間に育児休業給付金を延長する場合、以下の2つの要件を満たす必要があります。
1.市区町村で保育所等の入所申し込みを行う
2. 入所申し込み時に入所希望日を1歳の誕生日以前とする
ポイント1
保育所等とは、児童福祉法第39条に規定する保育所等を指し、いわゆる無認可保育施設は含まれません。
時々、お住まいの市区町村に入所可能かどうか問い合わせたものの入所は難しいと言われ、正式な申込みをされない方もいるようです。
たとえ入所できないと言われても、必ず入所申込みを行うことが重要です。そうしないと、確認資料の提出もできず、復職の意思がないものと判断されてしまうからです。
保育所の申込み時期については、市区町村ごとに異なります。お住まいの市区町村にあらかじめ確認し、申し込み期限に間に合うように留意ください。
ポイント2
保育所入所の希望日は、1歳の誕生日以前とすることが重要です。
育児休業ではよく「1歳に達する日」とう言葉を目にするかと思います。これは、具体的に「1歳の誕生日の前日」を指します。
たとえば、12月10日生まれのお子さんの場合、1歳に達する日は12月9日になります。
よくある「1歳まで育児休業を取る」とすると、このケースにおいて育休期間は生まれた翌年の12月9日までとなり、12月10日には復帰しなければなりません。そのため、保育所の入所希望日は、12月10日以前とする必要があります。
ところが、育児休業を誕生日まで取れるものだと思い、翌日(12月11日)を入所希望日としてしまうと、延長要件を満たしません。これは大事なポイントです。
どのような確認資料が求められる?
育児休業給付金を延長するときは、市区町村が発行した保育所等の入所保留通知書など、当面保育等において保育が実施されない事実を証明することができる書類が必要です。
書面上で、1歳に達する日の翌日(=誕生日)の時点で保育が行われないことが明記されていなければなりません。
市町村から書面が交付されても、入所保留通知書等が発行されない場合や、保育が行われないことが明記されていないときは、「疎明書」を用意しましょう。
たとえば、お子さんが2月25日生まれで、1月の不承諾通知書(有効期限は3月31日まで)と記載がある場合、申し込みの有効期限が3月31日までの意味であって、誕生日時点で保育所等に入所できない事実は確認できません。このように、誕生日時点で保育所に入れないことが記載されていないときは、疎明書が必要になります。
また、お子さんが10月1日生まれの場合に、9月の不承諾通知が添付されるようなケースも見受けられますが、これも疎明書が必要です。
この場合、1歳に達する日は9月30日ですが、確認書類としては、1歳に達する日の翌日(10月1日)時点の不承諾通知書が必要となるからです。
なお、パパ・ママ育休プラス制度により、休業予定日がお子さんの1歳に達する日後である場合は、その休業終了予定日の翌日に保育の実施が行われないことが確認できる書類が必要です。
1歳6か月以降も保育所に入れない場合
お子さんの保育所申込みを行っているものの、1歳6か月に達する日後の期間について、当面その実施が行われないときは、最長で2歳に達する日まで育児休業給付を延長することができます。
この場合、書面上で1歳6か月に達する日の翌日の時点で保育が行われないことが明記されている必要があります。
「1歳6か月に達する日」とは、ちょっとわかりにくいですが、誕生日応当日の前日となります。
たとえば、12月10日が誕生日の場合、1歳6か月に達する日は、6月9日となります。したがって、確認書類としては、6月10日時点で保育の実施が行われていないことを明らかにする必要があります。
ちなみに、月末生まれで6か月後に応当する日がない場合はどうなるでしょうか?
たとえば、12月31日生まれの子については、誕生日応当日となるべき6月31日が存在しません。この場合、民法143条2項の規定により、その月の末日、つまり6月30日が1歳6か月に達する日となります。
育児休業給付金がもらえる期間に注意
ここまで、育児休業給付金を延長申請する場合のポイントについて確認してきました。
それでは、育児休業給付金を1歳まで、あるいは延長して1歳6か月、2歳までもらえることとなった場合は、具体的にいつまで支給対象になるかご存知でしょうか。
具体的に、育児休業給付金がもらえる期間の末日は、以下のようになります。
1歳まで育児休業を取った場合: 1歳に達する日の前日まで(誕生日の前々日)
1歳6か月まで育児休業を取った場合: 1歳6か月に達する日の前日まで
2歳まで育児休業を取った場合: 2歳に達する日の前日まで(誕生日の前々日)
たとえば、12月10日生まれの場合、1歳に達する日まで育児休業を取るときは12月8日まで、1歳6か月まで育児休業を延長するときは6月8日までが、育児休業給付金は支給対象となります。
育児休業期間と育児休業給付金の支給対象となる期間は1日ずれてくるので、その点もご注意ください。
ただし、これは1歳、1歳6か月、2歳までの場合です。各年齢基準よりも前に育児休業を終了したときは、復帰日の前日で支給終了となります。
この点も意外と知られていないので、気をつけたいところです。
まとめ
育児休業給付金をはじめとする育児休業に関する一連の手続きについては、実務を行う者でさえ大変複雑だと感じます。
ですから、初めて育児休業を取ったり、延長したりする場合は、かなり難しいと感じてしまっても不思議ではありません。
しかも、法改正も多い分野ですので、育休を取った先輩からの話が、もはや通用しないことは間々あること。
育児休業を取る場合は、事前に最新情報を入手して計画を立てるようにしましょう。
このブログには育児休業関連のエントリが複数ありますので、ぜひ参考にしてください。