こんにちは、佐佐木 由美子です。
働き続けていると、「仕事を辞めて、しばらく休みたい」と思うことはありませんか?
そうは言っても、実際に辞めるとなれば生活の糧を失うわけですから、簡単に決められるものではありません。
でも、心身ともに参ってしまったり、他にやりたいことがあったりして、「もうこれ以上は無理」と強く感じているなら……
一旦、仕事から離れてみることも、ひとつの選択ではないでしょうか。
仕事を辞めたい理由は何か
世間では、「退職する=悪いこと」と捉える風潮が少なからずあります。
勤続期間が短いと「石の上にも3年」と言われ、勤続年数が長ければ「ここまで頑張ったのだから」と言われる……よくありがちなアドバイスかもしれません。
しかし、勤め続けることが必ずしも正しいことだとは言えないと思うのです。
無理をし続けた結果、大事なものを失ってしまったら? もし病気になってしまったら?
今しかできないこともあるかもしれません。何よりも、あなたの命より大事なものなどありません。
仕事を辞めたいと悩んでいるなら、なぜ辞めたいと思うのか、その理由を自分の中で言語化してみることも大切です。
「ただ何となく」や「不満がある」といった漠然としたものでは、転職して新しい仕事を始めても、似たような悩みがまた出てくるかもしれません。そのようなときは、今の場所で何か改善できる方法はないか、一度じっくりと考えてみたいものです。
一方、心身共に疲弊している場合や、何かやりたいと思うことがある場合など、一旦リセットするために仕事から離れてみるという選択肢もあり得ます。
「やりたいこと」と言っても、誰もが納得するような「大義名分」などなくて構いません。
たとえば、「旅をする」といった理由でもいいですし、学び直しや関心のある活動・ボランティアに参加するでもいいでしょう。疲れた心身を癒すことも大事なこと。要は、自分が自分でいられる活動、活き活きとできることを経験することです。
これまでと違う環境で、様々なものや人との出会いが、次に進む道へのヒントや新たなアイディアをもたらしてくれるかもしれません。
私もかつて、「モラトリアム」と称して、仕事から離れて自分に猶予期間を与えたことがあります。懐事情もありましたが、あまり長すぎるとその後仕事に戻れなくなるかもしれない、とも思い猶予期間をあらかじめ設定しました。
今振り返れば、「そのとき」の私にとって必要な時間であり、結果として今のキャリアにつながっていることは確かです。
いつも楽しいことばかりとは限りませんが、人生に無駄なことなどないと感じます。
キャリアブレイクとは
離職期間が長いと、転職には不利だとよく言われます。仕事から離れている期間を、ブランク(空白)と捉えられ、スキルが陳腐化すると考えてしまうからでしょう。
しかし、大事なのはその期間に何をしていたのか、どういう意味があったか?ということではないでしょうか。
人生の一時期を仕事から離れる文化がヨーロッパにはあるそうです。心身の回復や旅、子育て、自己研鑽など目的は様々ですが、「キャリアブレイク」とも言い、決してネガティブなものとは捉えていません。
ブレイク(break)とは、コーヒーブレイクといった言葉で知られるように、休憩や小休止を意味する言葉。キャリアブレイクとは、離職や休職など仕事から一時期離れることを言います。
何もないブランクではなく、キャリアブレイクだと捉えれば、離職や休職もポジティブに受け取られ、さらに多様性が広がるのではないでしょうか。
一定期間働くと、休みが取れる制度を設ける企業もあり、日本ではヤフーやANAなどが長期休暇を設けています。「サバティカル休暇」という名称が知られていますが、日本ではまだまだ少数派。
そうなると、仕事を長期間休みたいと思ったときに、退職することが現実的な選択肢になり得ます。実際、仕事を辞めたあとに一定期間を取り(その間に留学や旅行など好きなことをして)その後、転職活動をする人は、これまでもたくさんいたのではないでしょうか。
ビジネス特化型SNSのリンクトインは、プロフィールの職歴欄に「キャリアブレイク」を追加できる新機能を今年発表しました。介護、旅など13項目からブレイクの種類を設定できるそうですが、職歴の空白期間を普通のこととして捉える姿勢の表れとも言えます。
キャリアを中断することを、恐れる人は少なくありません。
でも、大事なのは「今」であって、その連続が未来に繋がっていくのです。
長い人生、時には立ち止まってみるのも悪くありません。
働き方も大切ですが、休み方も同じくらい大事なことだと私は考えています。
まして、長期化する人生において、学業を終えてから定年までずっと働き続ける、ということ自体が前時代的な発想に思えてなりません。
人生がマルチステージ化していくわけですから、キャリアブレイクがあることはむしろ自然なことだと言えるのではないでしょうか。
「今、キャリアブレイク中です」
そんな風に、堂々と言える日もそう遠くないかもしれませんね。