こんにちは、佐佐木 由美子です。
仕事をテキパキとこなす女性に「すごいですね」と素直に伝えたところ、「そんなことありません。私なんて全然ダメです」という謙虚な答えが返ってきました。
日本人は、どうも謙遜的なところがありますよね。
「奥ゆかしい」とも言えるのかもしれませんが、あまりにも度が過ぎると「そこまで否定しなくてもいいのに」と思ってしまうことがあります。
そのとき、ふと思い出したのが、「インポスター症候群」です。
インポスター症候群とは?
英語でインポスター(imposter)とは、「詐欺師」や「偽者」を意味します。インポスター症候群とは、能力があることを示す外的な証拠があるにもかかわらず、自分を内面的に肯定できず、自分を詐欺師のように感じて成功に値しないと考えてしまう心理的傾向を言います。
自分の成功は、単なる幸運やタイミングのせいであって、本来の自分よりも能力があるように他人を信じ込ませることで手に入れたものだと感じてしまうのです。
例えば、Facebookの元COOシェリル・サンドバーグは、自身の能力に自信を持てず悩んだ過去を告白しています。「ハリー・ポッター」シリーズで知られる女優のエマ・ワトソンもかつて「自分がいい仕事をすればするほど、『私はそんなにほめられる資格なんてない』という気持ちが増していった」と語っています。
インポスター症候群は、勤勉で社会的に成功した女性に多く認められる傾向にあると言われますが、女性に限った話ではありません。
相対性理論を発見したアインシュタインでさえ、世間から英雄視されればされるほど「まるで自分が詐欺師のように感じる」と書いた手紙が残されています。
彼らは誰もが知る有名人で、実際に偉業を成し遂げています。それでも、自分自身を内面的に肯定することは、時に難しいと感じてしまうことがあるかもしれません。
自分を育む活動を積み重ねる
インポスター「症候群」と呼ばれるものの、病気の類ではありません。
よほどの自信家でない限り、多かれ少なかれ、私たちはインポスター症候群に見られるような心理状態になることはあるのではないでしょうか。
私も「大した実力もない自分」を感じることはあります。だからと言って、必要以上に自分を卑下しないようにしています。
とはいえ、急に自己肯定感を高めるのは、なかなか簡単なことではありません。
そういうときこそ、大事にしたいと思うことがあります。
それは、もっと自分自身を敬うということ。
あなたは、自分自身を敬っていますか?
他人を尊重するばかりに、自分の気持ちをないがしろにすることはありませんか?
私たちは、案外自分のことを後回しにしがちなところがあります。空気を読んで、相手の期待通りにしようしたり、自分の意見を伏せて周囲に合わせようとしたり。
でも、そうした状態がずっと続くと、不満も溜まりますし、疲れてしまいます。
もし、自分を敬えていないと感じているなら、試してもらいたいことがあります。
自分にいつも「~すべき」と言っている活動を一旦すべて脇に置いて、自分のためにしたいと思っていることは何か、考えてみてください。小さなことで構いません。むしろその方が肩の力を抜いて考えることができるのではないでしょうか。
例えば、挽きたての美味しい珈琲を一杯飲むこと、暖かいお風呂にゆっくりとつかることなど。これならば、ちょっとスケジュールを工夫すればできるかもしれない、といった自分を育むための小さな活動はありませんか?
他人にとっては対して意味のない何気ないことでも、あなたにとってはちょっと贅沢な何かがきっとあるはずです。
そうした自分のために使う時間、自分を育む活動をすることは、小さなことでも潜在意識に自分という人間を敬っているという肯定的なメッセージを与えます。
その活動自体も楽しいうえに、自分を育む活動を増やして積み重ねていくことで、自分を敬う習慣として身に着いていきます。それはきっと自分自身を内面的に肯定することに繋がっていくものだと思います。
がんばって自己肯定感を高めようとしなくても、自然と自分を認められるようになったらいいと思いませんか。
自分を育むための活動とは、別の言葉で言えば、「好きなことをすること」と置き換えることができます。難しいことではありませんよね?
でも、そんなシンプルなことが、大人になると出来なくなってしまうことが往々にしてあるのです。
根本的に忙しすぎる、ということもあるかもしれません。
家庭や仕事、社会から求められる役割や責任が増えることで、真面目な人ほどその期待に応えよう、がんばらなくては、と力んでしまうこともあるでしょう。
自分を育むための活動には、自分がやりたいと思っているささやかなことを含め、自分を大事にするということです。しっかりと睡眠を取ることや、栄養のある食事を摂ること、適度な運動をすることなど、健康面に配慮することも大事なことですね。
ぜひ「自分を敬うこと」を思い出し、自分を育む活動を意識的に生活の中に取り入れてみてください。それだけ価値のあることです。