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40代以降の大人女性は、なぜ学び直しに意欲的なのか

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こんにちは、佐佐木 由美子です。

かつて、40代になればキャリアの後半戦にさしかかっていた印象がありました。

ところが、人生100年時代と言われるようになり、50年働くとすれば、40代後半はまだ職業人生の折り返し地点に過ぎません。

パーソル総合研究所の調査によれば、40代以上のミドル・シニアが「自分のキャリアの終わり」を意識するのが多数派になるのは45.5歳だそう。一方で、働く本人たちの希望引退年齢を見ると、40代以上は軒並み平均64歳近くまで働くことを希望しています。

つまり、キャリアの終わりを意識し始めてから、20年くらいもの長い間、働き続けることになるであろうと感じているわけです。

これは、なかなかシビアな現実ではないでしょうか。

40代半ばにもなると、かなり自分の今後の状況がリアルに想像できるようになります。

家族状況(子供がいる人はあと何年子育てに費やすか?学費はどのくらいかかるか?)や住宅事情(持ち家の場合はローンがどのくらい残っているか?)など、自分の生活に密接に関わる、そして投入する時間やお金が大きく動くことについて、だいたい見通せるようなります。

プライベートばかりでなく、会社の状況や仕事も同様です。さすがに20年先までは予想できないものの、定年まではいられそうか、自分がどの程度のポジションまでいけそうか、給与はどうなるか、といった想像は何となくできるのではないでしょうか。(あくまでも予測として)

行く先が少しずつ見えてきます。

そこで、多くの女性は人生後半の仕事や働き方、人生そのものについて、真剣に考え始めると思うのです。

女性はとかくライフイベントの影響を受けやすいと言われますが、後半の人生を考えるときは、個として自分自身の生き方に自然と目が向くのではないでしょうか。

人生の後半をいったいどう生きるか

人生100年時代と言われるようになって、おそらく長生きするであろう自分の未来を想像しながら、40代半ばから50代前半のアラフィー世代の女性たちは、この大きな課題に戸惑っている人は多いと思います。50歳を迎えれば、「定年」がそう遠い未来の話ではなくなってきます。

自分の進むべき道が見えないと、不安にもなりますし、心がざわつくものです。かといって、黙っていても時間は過ぎていきます。

老後がひたひたと迫ってくることを思えば、まったく無視することもできません。老後生活へのお金や健康問題も、今まで以上に気になり出してくる時期です。

そうした状況を打開するために、次のステージへの布石を打つために、40代~50代で学び直す人が増えているのではないかと思うのです。

実際、最近話をした40代の女性たちは、口をそろえて切実に「学びたい!」と訴えていました。しかも、大学院への進学など、かなり意欲的に検討をしている人も。仕事に加えて家庭生活との両立もある中、タイミングを見計らっているようでした。

成長志向の変化は顕著に

パーソル総合研究所の調査によれば、2017年から2021年にかけて年代別に成長志向の変化を見ると、「45~49歳」が特に大きな伸びを見せているのがわかります。(注)このデータは女性に限定されていません

   2017年~2021年の年代別成長志向の変化(正社員)

出所:株式会社パーソル総合研究所「働く10,000人の就業・成長定点調査」

現代はVUCAの時代と言われるように、市場環境の変化も激しく、これまで培ってきたスキルや能力が、あっという間に陳腐化してしまうリスクに晒されています。

*VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字から成る造語。不確実性が高く将来の予測が困難な状況を意味する。

上記の表ではこの4年間での定点比較をしていますが、成長志向が40代で高まっているのは、コロナショックによる影響に加えて、ここ数年で黒字企業でも早期退職募集を行う事例が増えており、そのターゲットが50代から40代へと広まっていることなど考えられます。

学ぶことで、「より良いキャリアや人生を手にしたい」と思うのは、ある意味自然な流れとも言えます。

そして、これからの時代には、大人の学びはとても重要な意味を持ってくると思います。

個人的には、学ぶこと自体に新たな発見や刺激を受けるので、これまでのキャリアにとらわれることなく、純粋に特定の分野を学んでみたい、あるいは研究をして真理を追究したい、というのはアリだと思っています。もちろん、今までの経験をさらに発展させていくことで、より専門性を極め、自らの市場価値を高めていくのも一つのやり方です。

また人生経験を重ねれば、今まで感じなかった新たな問題意識が芽生えることもあるでしょう。(それがビジネスにつながることも往々にしてあります。)

一方、「リスキリング」で、DX(デジタル・トランスフォーメーション)時代を生き抜くためのデジタルスキルを習得したい、という人もいるかもしれません。リスキリングは大企業を中心に広がっていて、今後さらに注目されていくはずです。

何を学ぶかは、本人次第。

そうして得た学びが突破口となって、これからの人生やキャリアに活かせるのであれば、言うことはありません。


ただ、人生後半の仕事や働き方については、学びだけでは答えが出ないこともあります。

もっと根源的に、自分はどう生きたいのか、どのような働き方を求めているのか、いつまで働きたいのかを自らに問うことではないでしょうか。

男性の場合、良くも悪くも定年まで働く(+継続雇用で65歳くらいまでは普通)という既定路線がで出来上がっています。一方、女性においては、定年まで働き続けている人の方がまだ少なく(そうした雇用環境が整っておらず)、人生の過ごし方・働き方も多様です。

残りの人生において、「こうありたい」という理想の人生を、とことん考え尽くしてみること。それが、アラフィー世代の女性にとっては大事な一歩だと考えます。

執筆者プロフィール
佐佐木 由美子

社会保険労務士、文筆家、MBA。グレース・パートナーズ株式会社代表。働き方、キャリア&マネー、社会保障等をテーマに経済メディアや専門誌など多数寄稿。

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