定年前後の働き方大全100

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人生100年時代のサステナブルな働き方

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こんにちは、佐佐木 由美子です。

厚生労働省の推計によれば、2040年に65歳を迎える人のうち、女性の2割が100歳まで、男性の4割が90歳まで生きるといいます。

人生100年時代。あなたは、いつまで働くつもりでしょうか。

定年まで?
確かに、つい数年前までは、「定年」をキャリアの終着点と考えていた人は多いでしょう。
60歳定年の企業は多く、60歳というのがキャリアの区切りとして捉えられていたところはあります。

ところが、年金の受給開始年齢が原則65歳に引き上げられたことに伴い、本人が希望すれば、65歳まで雇用することが企業に義務付けられました。

そこで定年が60歳の場合も、継続雇用制度を利用して65歳まで働こうとする人が今は増えています。

さらに、2021年4月からは、改正・高年齢者雇用安定法によって「70歳」までの就業確保措置が努力義務化されました。
こうなると、65歳まで働くのはもはや当たり前の話で、さらにその先いつまで働くか?ということになるでしょう。

これまでは学校卒業と同時に一斉に就職し、定年で一斉に引退する、という流れが人生定番のコースでした。
ところが、定年後さらに働き続ける人が増えていくので、一斉引退というわけにはいかなくなってきます。

つまり、引退の時期は会社ではなく、私たち自身が決める時代になります。
健康面や経済面など、年齢を追うごとに個人差は大きいもの。だからこそ、自分の頭で考えることが大事になってくるのです。

しかし、定年間近になって急に働き方を変えようとしても、なかなか大変かもしれません。

それならば、ソフトランディングができるように、今から働き方を見直してみてはどうでしょうか。そこで私は、サステナブル(持続可能)な働き方を提案します。

サステナブルな働き方とは?

私が考える「サステナブルな働き方」とは、

1.自分に無理をしない働き方で
2.やりがいのある仕事をして
3.経済的に自立すること

という3つの要素が含まれるものです。

変化の激しいストレスフルな社会において、競争に晒されながら、ずっとトップギアで走り続けていけば疲弊してしまいます。

人生は、仕事がすべてではありません。個々にやりたいこともあるでしょうし、ライフステージで大切にしたいものは変化していくもの。働き方のペースも、人それぞれあっていいはずです。 

自分に無理をしない働き方をすること

私はこれまで、社会保険労務士として仕事をする中で、多くのメンタルヘルス不調で悩まれる方を見てきました。働き過ぎで体調を崩してしまったり、パワハラ・セクハラ問題が背景にあったり、職場の人間関係、仕事へのプレッシャーなど原因は様々です。

こうした問題を通して、「幸せに働くにはどうしたらいいのか」という問題意識を強く持つようになりました。もっと多様で柔軟な働き方を認め合えたら、個人の力をもっと生かせるはずではないでしょうか。そして、もっと幸せに働けるのではないでしょうか。

無理をしない働き方とは、決して手を抜いて働くことではありません。
自分が望む働き方を、自分で選択するということ
です。

仕事にやりがいが持てること

自分に合った働き方ができたとしても、仕事そのものにやりがいを持てず、心からコミットできないとしたら、働くことに喜びは持てないでしょう。

働き方も大切ですが、根本的に何を仕事とするのか、何がしたいのか、ということは極めて重要です。

「仕事はつらいもの、我慢すべきもの」という人もいます。でも、人生の貴重な時間を我慢すべきものに使っているとしたら、それは時間を浪費しているのと同じことではないでしょうか。

やりがいが持てる仕事とは、個人の感じ方です。社会的にステータスがある職業かどうかなど関係ありませんし、雇用形態や給与の高さなどで決められるものでもありません。

経済的に自立すること

私たちが現代社会で暮らしていくには、一定のお金が必要になります。たとえどんなに好きな仕事をしていても、それで収入を得られないとしたら、現実的に生活が立ち行きません。

金銭的な欲求については個人の価値観によりますが、仕事からきちんとお金を稼ぐ、ということは、とても大切なことです。

ただし、経済的な自立に関しては、年金収入や保有する資産を含めて考えるものとします。つまり、サステナブルに働いて得られる収入から100%の生活支出を賄えないとしても、別の収入源等と合わせて自らの生活が成り立つのであれば、経済的に自立している状態と言えます。

会社勤めをしていれば、いつか定年を迎えるでしょう。たとえば、毎月の生活支出が20万円かかるとして、年金収入等が月12万円あるなら、あと8万円をサステナブルに働いて稼げれば自立した生活を送ることができます。

サステナブルな働き方を通して社会に貢献し、経済的に自立できることは、自分に自信を深め、自己肯定感をもたらしてくれるはずです。

サステナブルな働き方はいつからでも始められる

人生の長期化に伴い、老後資金を心配する声が多く聞かれます。
仮に60歳で引退して、90歳まで生きるとしたら、老後生活が30年続くことになります。その間、年金や貯蓄だけで生活していけるだろうかと、誰もが考えるのではないでしょうか。

平均余命と毎月の想定生活費から、老後の必要額をシミュレーションすることはできます。

しかし、経済リスクに備えて現役時代に「完璧」に備えることは難しいでしょう。
それは、肝心な自分の寿命を正確に予測することができないから。

予測より5年、10年、いやそれ以上生きるとしたら?
いくらお金があっても、「足りないかも」と感じてしまうのではないでしょうか。

もちろん、老後生活を支える年金制度を理解し、将来に備えておくことは大事なこと。でも、いたずらに不安に煽られ、経済リスクに備えるために「今」を犠牲にするとしたら、もったいないと思いませんか?

それよりも、元気なうちにサステナブルな働き方に移行して、引退にとらわれず長くそこそこ稼ぐ方が、ずっと建設的ではないでしょうか。 

サステナブルな働き方へ移行することは、いつからでもできます。
特に、ネクストキャリアについて考える40代~50代や、子育でなどで忙しい30代にも相性が良いと言えるでしょう。一方、この年代は教育費や住居費など様々なお金がかかる時期でもあるので、ライフスタイルを考慮して生活設計を検討していく必要はあるでしょう。

その点、家計の支出額が減少していく定年後の働き方としては理想的と言えます。

パーソル総合研究所の調査では、年齢が上がるにつれて出世意欲が減退し、「自分のキャリアの終わり」を意識する人が多数派になるのが45.5歳だということ。

40代半ばにもなれば、誰しもその後のキャリアパスがある程度は見通せるようになります。私生活においても、家族のことや住宅のことなど、もっとリアルに見通せるようになるでしょう。

そのとき、定年まで「この会社にずっといたい」と思えるならいいですが、そもそも今の仕事が続けられるかどうかもわかりません。
まして、心の中ではやりたくないと思いながら、ひたすら我慢するような毎日だとしたら、次のステージを考える時期なのではないでしょうか。

定年まで会社ファーストで懸命に働き、引退していきなり仕事のない人生になる。それは、ちょっと寂しく感じます。そんな風に人生を分断する必要はないはずです。

だとすれば、まだ体力のあるうちから、これから先の長い人生を考えて、サステナブルな働き方に移行し始めてみては?これも選択肢のひとつです。

定年後に、サステナブルな働き方に移行する場合であっても、早めに準備しておくに越したことはありません。場合によっては、副業をしながら少しずつ経験値を高めておくのも有効と言えます。

キャリアというと、責任や給与・待遇がアップすること(=キャリアアップ)が良いものとされていますが、上手な降り方があってもいいはずです。パラレルなキャリアも、一時的に仕事から離れてみてもいい。自分の人生なのですから、自分で決めればいいのです。


かつては安定した企業に入社して忍耐強く勤め上げれば、年齢と共にある程度の給与やポジションが与えられ、大過なく人生を過ごせたかもしれません。

しかし、時代はダイナミックに変化しています。

人生も働く期間も延びるからこそ、本質的な生き方、働き方について自ら考え、行動することがますます大事になっていきます。

人生100年時代。あなたは、人生の後半をどのように過ごしていきたいですか?

 


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執筆者プロフィール
佐佐木 由美子

社会保険労務士、文筆家、MBA。グレース・パートナーズ株式会社代表。働き方、キャリア&マネー、社会保障等をテーマに経済メディアや専門誌など多数寄稿。

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